NATO諸国よ、財務大臣を交え語ろう

9月のNATO国防大臣会議に財務大臣も連れてこい
未来の世代は、我々が国防に投資したかを問うだろう
NATO1.jpg2日、ヘーゲル国防長官がWilson CenterでNATOを課題について講演し、欧州NATO諸国諸国で削減傾向にある国防費について、ウクライナ情勢を踏まえた現実を各国の財務担当者と共有するため、9月にウェールズで予定のNATO国防大臣会合に各国の財務大臣を連れてくるよう呼びかけました
米国防省web記事はこの講演を、NATO諸国に責務への関与や国防費の回復を訴える米政府の一連の動き、つまり3月26日のオバマ大統領ブラッセル演説、4月末のバイデン副大統領による声明、ケリー国務長官によるNATO諸国への関与呼びかけに並ぶもの、と表現しています
ヘーゲル長官はWilson Centerで
●米以外のNATO諸国のGDP総計は、今や米国のそれを上回っているが、国防費で見ると米国予算は他のNATOの27カ国総計の3倍にも成っている。冷戦後、NATOの国防費は減少を続けている
●多くのNATOの小規模国はエストニアのように防衛への関与意志を示しているが、欧州の大規模な軍事国が同様に動かない状況にNATOは耐えられない
Ukrain-Ru2.jpgNATO諸国の財務大臣等は、軍事リーダーからNATOが直面している危機について詳細なブリーフィングを受けるべきで、これを財政問題打破に繋げたい。全NATO諸国が財政関与しなければならない
ロシアのウクライナにおける行動がNATOに意味するモノは明確である。国防大臣だけでの話や強力の同意では不十分で、政府機関全体での支援獲得が不可欠だと認識した。各加盟国の各加盟国の財政課題を踏まえつつも、国防費の優先度を議論しなければ
●米国は世界の安全保障に関与を続けるが、2014QDRで示したように、力のある同盟国の強い関与が不可欠だ。米国防省はより明確な同盟国の協力と融合を追求する
●欧州に漂っている「冷戦は終わった」、「少なくとも欧州では国家による侵略の恐れはない」との感覚が障害となってきたが、ロシアのウクライナでの行動がこのような幻想を葬り、新たな現実を突きつけている
●短期的にNATOは対応を見せるだろうが、ロシアは長期的にNATOのスタミナや関与を試すだろう。そしてNATO諸国の未来の世代は、危機に直面した我々が国防に投資したかを問うだろう
NATO諸国は、急激に変化を続ける戦力環境に如何に対応し、創造的な解決法を見つけるかにおいて、世界中に手本を示すべきである
●本集団安全保障体制は大西洋の基礎となるだけでなく、アフリカからペルシャ湾岸、更に南東アジアのモデルとなるものだ。このような地域の安全保障機関を強化することが、米国防政策の「centerpiece」でなければならない
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NATO2.jpgドイツを除き、既に国としての活力を失いつつある欧州諸国は、この呼びかけに答えることが出来るでしょうか? 唯一元気のありそうなドイツが、エネルギーをロシアに依存している関係で「及び腰」な中で、口先介入と経済制裁だけでお茶を濁しそうな気がしますが。
ロシアと中国にこれ以上弱みを見せるわけには行きません。アジアで変な色気を出されてはたまりませんから・・・。シャングリラ会合にぶつける中露海軍演習のような。
NATOがお手本で、他の地域はNATOをモデルにすべき・・との「上から目線」には少し引っかかります
ASEANのような、捕らえどころのないアメーバ機構が複雑化する国際社会に有効な場面も多いような気もします。
リビア作戦でのNATO軍の不備を批判
全NATOのISRアセットをかき集めても、最大で1日8時間しかISR任務が実施できず、戦闘機や戦闘爆撃機に至っては、4機が常時リビア上空に所在していた事はなかった
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-10
ヘーゲル長官がミュンヘン安保会議で欧州諸国へ
「安全保障への関与を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-04
パネッタ長官がNATOへ
「アジア太平洋にも関与を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-19
ゲーツ前長官のNATO批判と露訪問
「警告する、NATOの2極化を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12
「ロシアでCIAの思い出を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-03-28

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