19日、今年1月8日に前任者が辞職して以降、空席になっていた米国防省No3ポストの政策担当国防次官に、Christine Wormuth女史(現政策担当副次官)が「やっと」議会で承認されました。
Wormuth女史が大統領にノミネートされたのが1月31日ですから、承認に半年を要したことになります
このほかにも、アジア太平洋担当の次官補やWormuth女史の「deputy」ポストも1月から「承認待ち」の状態が続いています。
米国がアジア太平洋リバランス政策を掲げる中、米国防省でその中枢を担うポストが「空席のまま」なのは、そのまま同政策への米政権の姿勢の表れなのですが、同時に、議会の空転から来る予算の強制削減やオバマ大統領のレイムダック化により、米国政治自体の空転している表れでもあります
承認されたWormuth女史とは
●現在、実質的に国防次官の役割を果たしており、3月4日に行われた2014QDRの発表会見も取り仕切っている。国防省の政策部門の主要ポストを勤めており、国家安全保障上の課題に関与して精通している。
●前職は国防政策や戦略に関する大統領特別補佐官でホワイトハウスの安全保障チームの主要メンバ-。その職では「global, functional, and regional defense, military and political-military」問題について大統領を補佐した経歴
●また国防省で、本土防衛と国内治安問題担当の首席国防次官補代理を経験している。学際では、CSIS等の上級研究員を勤めている
アジア太平洋担当・国防次官補の候補者は?
●David B. Shear氏は米国務省に1982年から属し、現職の駐ベトナム大使を2011年8月から務めている。米外交官として札幌、北京、東京、クアラルンプールでの勤務経験がある
●米国務省内では、日本、中国、韓国関係部署で勤務経験があり、政治問題担当国務次官の補佐官も経験している。
●08年から09年の間に中国&モンゴル室長を務め、ベトナム大使赴任直前の09年から11年の間は東アジア&太平洋局長を務めていた
●国務省員としての日米国防関係に関する功績により、「国防長官賞」を授与された実績もある。
●SAISで国際関係の修士号のほか、早稲田大学や台湾国立大学、更に中国の南京大学で学んだ経験を持つ
Wormuth女史の「deputy」候補者は?
●Brian P. McKeon氏は、2012年からNSCのスタッフ長と大統領副補佐官を務めている。
●バイデン副大統領の国家安全保障副補佐官を09年から12年まで務め、オバマ大統領が初就任した際の政権移行チームにも属していた。
●09年以前は、バイデン上院議員(当時)を補佐する形で、上院外交委員会の上級スタッフを務めていた。
●バイデン氏とのつながりは、McKeon氏がノートルダム大学を卒業した直後からスタッフとして働き始めた頃にさかのぼる
////////////////////////////////////////////////////
国防省の政策担当部門には、オバマ-バイデンと関係の深い人物が揃うことになります。
かつては、政策シンクタンクCNASから有能な人材が大量に送り込まれていたのですが、大きく様変わりです(既に実質変化しているのですが)
大統領府の強いリーダーシップといえば聞こえは良いのですが、「世界の警察官ではない」的志向と予算削減重視姿勢がにじみ出る陣容なのかもしれません
更には、岡崎研究所が6月17日付で指摘した「(シリア問題対処に関し、)マクドノ-補佐官と散歩中に決めたという軽率さのために、ホワイトハウス、国務省、議会で、誰一人、大統領を弁護する者が居ないという異常な状況を作ってしまいました」レベルの混乱が、国防省の人事にまで及んでいるのかもしれません
「次期国防省No3は?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-23