米海軍と米空軍の激突激化か?
最近、米軍の対中国(対A2AD)航空作戦構想に関し、米海軍がNIFC-CA構想を前面に打ち出し、かつ海軍トップが「ステルスだけでは10年後には駄目だ」との発言で、F-35への関与を極力避けたい思いを臭わせ、電子戦機EA-18Gや空飛ぶレーダーE-2Dを重視する様子をご紹介してきました
FA-18がシューターで、EA-18Gの電子戦やターゲティング支援を受け、E-2Dの遠方索敵データをデータリンクで活用し、UCLASSは空中給油機で、F-35はISRセンサーだ等を柱とする構想で、イージス艦のセンサーや兵器も取り込んでの運用構想です
そんな米海軍の「攻勢」が続く中、A-10やRQ-4(Block 30)の全廃がなかなか認められず、予算の先行きが見えずに苦しむ米空軍側から、「反撃ののろし」が上がりました。F-35のステルス性が「すごい」とのアピールです
11日付米空軍協会web記事は
●9日、ロッキードマーチンのF-35計画責任者であるLorraine Martin女史は記者団に対し、国防省や米軍による公式確認にはより多くのデータだ必要だが、F-35のステルス性は「機体の成熟で」要求性能を達しつつある(beating the stealthiness expected)と語った
●Martin女史は、米空軍戦闘コマンド司令官Mike Hostage大将の最近の発言「F-35はF-22よりステルス性で優れている。必要な場所ならどこへでも行ける」を紹介しつつ、F-35はEA-18G電子戦機などのサポート無しで、例え強固に防御された空域でも自由に行動できると述べた
●更に同女史は「非公開事項なので詳しくは話せないが」と前置きしつつも、Hostage司令官は正確にF-35能力を表現しているとコメントし、「EA-18Gは防御が必要な4世代機のサポートには役立つが」、「F-35は想定した全てのステルス性を備え」、「搭載した電子戦装備で安全に戦域への出入りが可能」と(米海軍とボーイング側に当てつけるように)主張した
●同女史はF-35のステルス性確認試験について、生産ラインから出て政府の承認を受ける前にまず試験し、更に数ヶ月飛行を行った後に再度試験場でステルス性の有効性を確認していると説明した
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これまでは、興味半分で海空対立構図を「強調して」ご紹介してきましたが、両軍のトップレベルが企業も含めて「言い争う」様子が本当に表面化しています。まさかビックリです。
この話は、これまで取り上げた中国版イージス艦の新型レーダーや米海軍E-2Dレーダーがステルス機を探知追尾できる可能性あり、との話も絡め、今後も論争が続くのでしょう
海兵隊型F-35Bの試験が佳境を迎える中でですが、米海軍側からの内部反乱で、ただでさえ不透明感一杯のF-35計画の将来は、ますます不透明感を増していくのです。
対中国(対A2AD)航空作戦構想を巡る海空対立
「E-2Dはステルス機探知可能!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「なぜ8機EA-18Gが必要か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-13
「海はNIFC-CAで空と統合呼びかけ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23
「ステルスVS電子戦は空VS海」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22
「海軍トップがステルス偏重に疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22