海外で防衛事務次官は何者なのか?

B-work-Nishi.jpg4日、防衛省の西正典・防衛事務次官が訪米中にBob Work国防副長官と会談し、ガイドライン見直しや日米韓の防衛協力等について協議した模様です。
本日は、西次官の訪米を米国防省web記事でご紹介しつつ、「administrative vice defense minister」と名乗って外国を訪問する防衛事務次官の位置づけを考え、併せて外国との交渉担当として防衛審議官というポストを新設した日本の「シビリアンコントロール」についても考えます
4日付米国防省web記事
work1.jpg●4日、Bob Work国防副長官は西正典・防衛事務次官と会談した。
●副長官報道官が発表した声明によれば、両国防高官はガイドラインの見直しについて議論したほか、日米同盟が平和と発展のための緊要な役割を果たすべく前向きな役割を果たしていることを確認した
●また副長官は、日本が世界と地域の安全保障により大きな役割を果たそうとする取り組みを評価し、集団的自衛権の解釈に関する再検討に付いても歓迎した
●更に両高官は、日米韓3ヶ国の防衛協力を強化する重要性について一致し、現状について確認した
副長官からは普天間施設移設に関する日本政府の努力を評価するとの発言があり、米側も沖縄での米軍プレゼンスのインパクト削減について取り組む旨を表明した
●両高官は、日米同盟がアジア太平洋地域の平和と安定の「cornerstone」だと再確認し、21世紀の課題に対応するため、両国が同盟強化のために協力することで一致した
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nishi.jpg西次官は事務方のトップとして、オバマ大統領訪日やシャングリラ会合での協議、国内での集団的自衛権議論を踏まえ、ガイドライン見直しの話し合いに訪米したのでしょう。必要な業務であり、生え抜き防衛省員として頑張って頂きたいものです
一方、事務次官が「administrative vice defense minister」と名乗ることは適切でしょうか? この英語表記は、防衛省側が対外的に説明しづらい事務次官の位置づけを伝えるための表記ですが、大丈夫なんでしょうか? 
ちなみに副大臣は「Senior Vice Minister」で、政務官は「Parliamentary Secretaries」です。いかにも事務次官は「政務官よりは上、副大臣に近い立場だぞ」と言わんばかりの英語表記です。
言いたいのは、日本では曲解し拡大解釈された「文民統制」概念の下、諸外国に比して「文民」が異常に幅をきかせている点です。この結果、盛んになってきた諸外国との軍事交流に際し、多くの国から国防省代表として軍人が意見交換に来るのに、日本側が文民で対応して不審がられているのです
事務次官ポストも、「administrative vice minister」と誇大呼称しないと外国人には意味不明のポストで、誰も面会してくれないでしょう。
更にこの傾向が防衛審議官ポスト新設で進み、「文民の園」である内部部局に自衛官40名を(下働き作業員として)定員化することで加速します。
最近の中国や北朝鮮の動向に言及するまでもなく、今後の周辺情勢への対応を考える際、日本の国内事情を優先した従来の防衛省組織で大丈夫でしょうか?
M of Defense.jpg日本の官僚組織の中で、上級職の国家公務員がいないと防衛省の地位が危ないとか、自衛官に国会対応させるのか?とか、そもそも自衛官にそんな能力があるのか?とか、種々のご意見がありましょう。軍人には軍の改革が出来ないと言ってるのは、まんぐーすではないのか・・とのご指摘も。
しかし所詮、国防問題に関し日本が特殊な国内環境にあるから文民を重用しているのであって諸外国とは大きく異なる点は押さえておくべきでしょう
まぁ・・内部部局にそれなりの自衛官を40名も勤務させれば、10~15年後には内局を論破するぐらいの力を自衛官が持つかもしれません。陸海空で「内輪もめ」せず、一つの方向を向いていればの話ですが・・・
また、東シナ海での騒ぎが大きくなれば、現場の声がプレスを通じて政治家や国民に直接届き、文民の陰が薄くなるのかもしれません。でも、その時までゆったりしていて良いものか・・・

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