全米軍のStandoff兵器を統括運用へ

608th AOC.jpg9日付米空軍協会web記事は、米空軍の戦略爆撃機を運用する第8空軍の作戦運用センターが空軍だけでなく海軍が保有するトマーホーク等を含めた長距離ミサイルの作戦運用を一括統制する事になったと紹介しています
あくまでも戦術レベルの作戦計画と統制のようですが、エアシーバトル推進や中国A2AD対処に向けた重要な一歩だと思いますので、短い記事ですがご紹介します
9日付米空軍協会web記事「SMAC Talk」は
●米空軍のGSC(Global Strike Command)に属する第8空軍は、20機のB-2と76機のB-52を運用する戦略爆撃機部隊であるが、その作戦指揮所を運用する「第608航空宇宙作戦センター」の中に、SMAC(Standoff Munitions Application Center)が設置され運用を開始した
Vander Hamm-8th AF.jpg●第8空軍司令官のScott Vander Hamm少将によれば、Barksdale空軍基地に設置された同部署は、米空軍だけでなく米海軍等からStandoff兵器の運用チームを呼び集め、空中発射巡航ミサイルや空中発射電波妨害デコイ、トマホーク巡航ミサイルの運用調整を行う
●つまり、米戦略軍の隷下部隊であり、かつ世界的な戦略攻撃機能を持つ第8空軍司令官が、全米軍のStandoff兵器運用を調整支援することになったのだ。
●第8空軍司令官に授けられたチームは、計画調整のための一握りのスタッフに過ぎないが、必要が生じれば、スタッフを派遣して地域コマンド司令官のStandoff兵器運用を支援することが出来る。
●Vander Hamm司令官は「Standoff兵器は高価な兵器であり、作戦計画において有効に活用するための支援をしたい」と述べ、米戦略軍の指揮統制権限も用い、電子戦&サイバー&宇宙アセットも活用してStandoff兵器をより有効に使用したいと語った
第8空軍webで「608th AOC」は
608th AOC Fac.jpg●第608航空宇宙作戦センターは、第8空軍による世界規模作戦における指揮統制機能を担い、特別任務における戦術レベルの計画・立案、統制・戦果分析等の作戦運用を行う
●AOCは世界規模の作戦遂行とインテリジェンス把握に勤め、大型爆撃機部隊の任務遂行のため、情勢認識、作戦計画、ATO作成、指揮統制を担う
「608th AOC」webサイトは
●米戦略軍司令官や地域コマンド司令官に戦略的効果を提供するため、「kinetic」と「non-kinetic」能力を世界規模の作戦で投入する計画、指揮統制、分析を日々行う
●敵対国の大量破壊兵器と対峙するため、対処に猶予時間のない緊急事態の際の支援を行い、また世界規模の攻撃能力を統括して脅威を抑止し、命ぜられれば決定的な能力を敵対者に振り向ける
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大型爆撃機の「non-kinetic」とは???なのですが、「air-launched jammers」のMALDなどを指すものと思います。
予算削減でドロドロの内部抗争が続く米4軍において、このような素晴らしい統合や融合の動きがあるとは思いませんでした。その権限の実態等、細部は不明ながら・・・
608th AOC -image.jpgJASSMやLRASM、海軍のトマホーク、空軍のAMG-86巡航ミサイル等の効果的任務分担は、口で言うほど容易ではないと思います。このような専門部署が出来、各軍種の知見を共有できれば、人材育成の面でも良い効果があるでしょう
自衛隊も人材を派遣して勉強させるべきです。特に航空自衛隊が。今は縛りがあるでしょうが、米軍の運用を学ぶとの名目で派遣する分には大丈夫でしょう。
Standoff兵器は絶対必要な装備です。日本も早く勉強を始めるべきです

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