22日付DODBuzzが20日付WSJ電子版の有料記事を引用し、安価な無人機や誘導兵器が世界に拡散する中、高価な迎撃ミサイルだけでは「敵の飽和攻撃」に対処できないから、技術が成熟してきたレーザー兵器の導入を考えるべきとの論考を紹介しています
WSJ電子版に投稿したのはフリーの若手軍事ジャーナリスト2名で、1名は米海軍航空作戦構想をご紹介する際に良く引用しているMajumdar氏で、もう一人はイスラエル人Erik Schechterです
このような組織に縛られない比較的自由な立場からの提言に好感を覚え、取り上げる次第です。技術的な細部はともかく、巡航ミサイルや無人機を高価な有人戦闘機やミサイルで撃ち落とす発想からの転換は、当然議論されるべきです
22日付DODBuzzのWSJ記事紹介によれば
●ガザ地区から打ち込まれるロケット弾対処に活躍するイスラエル軍の迎撃ミサイル「Iron Dome」だが、配管を利用した安価なロケット弾に1発数億円の迎撃ミサイルで対処するコスト問題も明確になってきている
●これに加えて20日付のWSJ紙は、ハマスが飛行させたガザ地区周辺で飛行させた数万円程度の無人機を、イスラエル軍が3億円のミサイルで迎撃したと問題を投げかけている
●コストの問題が1回の発射が数ドルとの見積もりがあるレーザー兵器への投資の増加を正当化しており、イスラエルのRafael社は無人機やロケット弾迎撃用の「Iron Beam」というレーザー迎撃装置を開発している
●レーザーはまた、弾切れがないとの便利さがある。防空システムへの大きな脅威として、安価に市場に出回る無人機で防空組織を飽和させてしまう作戦があるが、数が限定されるミサイルでは対処に限界がある
●レーザー兵器には確かに苦い過去がある。3兆円をつぎ込んだレーガン大統領の「Star Wars system」は、ソ連のICBM対処を狙ったが、構想は実現しなかった
●大型旅客機にレーザー兵器を搭載して弾道ミサイルを初期段階で迎撃する「Airborne Laser」も、ゲーツ国防長官により2007年に葬られた。
●今ミサイル防衛システムに再び注目が集まっているが、それでも依然として米国は、戦闘機等の攻撃機とその反撃力に頼っているのが実態だ
●しかしWSJ紙の論考の筆者2名は、今こそ米国がレーザーミサイル防衛システムに取りかかる時だと主張している。
●彼らは「無人機や短射程ロケットを迎撃可能な100-kilowatt級のレーザー兵器なら、米国は5年以内に開発可能だろう。またより強力な300-kilowatt級でも10年以内に実用化可能だ」と記している
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レーザー兵器に関しては、昨年数回、かなりの線まで来ているとご紹介し、米海軍が艦艇搭載レーザーの本格試験を開始したニュースを記事にした記憶があります
最近特段のニュースがないのは、予算の削減で「新参のモノはカット」や「予算削減」の影響を受けているのかもしれません。
フリーの若手軍事ジャーナリスト2名も、業界から「提灯記事」を書いてくれと言われたのかもしれませんが、提案自体は真っ当な正論です。
巡航ミサイルや格安無人機の「飽和攻撃」を最も受けそうな日本が、世界で一番真剣に考えるべき分野ですが、F-35だけしか考えてないので誰も実質議論していません
やはりここは、陸上自衛隊を数万人削減し、研究開発費と装備化予算と人員を捻出し、レーザー兵器を重要な基盤基地に一括装備する位の取り組みが必要です
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→http://online.wsj.com/articles/erik-schechter-and-dave-majumdar-lasers-are-no-longer-a-star-wars-fantasy-1405892997
レーザー兵器関連の記事
「航空機自己防御レーザー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-02-1
「艦載レーザーへ前進」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-12
「CSBAビーム兵器へ投資を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-20
「レーザー兵器の開発動向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-01