7日付米海軍協会web記事は、複数の関係者からの聞き取り結果として、6月23日にフロリダのEglin空軍基地で発生したF-35Aの火災について、Pratt & Whitney社のF135エンジンが直接関係していると報じています
更に、3日米国防省が全軍のF-35飛行停止を命じたことも踏まえ、火災原因がこれまで考えられていたよりも深刻だと述べ、当初考えられていたF135エンジン始動用の200馬力ガスタービンに発生した一過性の問題ではなく、F135エンジンそのものが問題だと指摘しています
複数の関係者が「Pratt & Whitney社が当該エンジンを持ち帰って分析中だ」、「原因の特定には至っていない」と述べ、Pratt & Whitney社も「米空軍の調査機関と緊密に連携して原因究明に当たっている。これ以上のコメントは時期尚早だ」と述べる(7日)に止めています
F-35は開発の遅延がこれまで問題になってきましたが、安全上の問題が生じたことはありませんでした。この点でもF-35開発計画の中でも重大な事象と考えられているようです
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5月、本エンジンに関してはP&Wの社長は
●問題部位は第一ステージのIBR(Integrally Bladed Rotor:通称Blisk)で、地上で実施するエンジン耐久テストで2200時間を経過した段階で亀裂が発生した。2200時間は約9年間の現場使用と同等の時間である
●亀裂は、エンジン設計寿命の77%段階で発生したが、何か設計に不備があったのかどうかは不明で、責任の所在を議論するのは時期尚早である
●既にIBRの再設計に取り掛かっており、これまで「中空構造」になっていたIBRをシンプルで安価な技術で製造可能な「Solid構造」に置き換えるものである。これによりエンジン重量が6ポンド増加する
●試験では、短期間に多くの負担を詰め込んでおり、要求されている性能よりも負担が掛かっていたとも言われており、部品に問題があったというのは早計だからだ
●部品が要求を満たしているかの試験は、今年後半に実施されるだろう。コスト低減を目的とした新部品の設計は既に始まっており、将来投入されるかもしれない
●部品の亀裂は大きな問題ではないと判断され、F-35の飛行は継続されている
・・・・・と、余裕な発言をしていましたが、お尻に火がついたかもしれません。
関連の過去記事
「F-35:2週間後も飛行停止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-26
「P&W社がエンジン亀裂を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-24