27日、Mark Welsh米空軍参謀総長がDefense-Newsの質問に答え、、6月のエンジン火災によって飛行制限が続いているF-35に関し、根本原因は未だ調査中だが、当面の対策としてエンジンの設計変更や製造工程見直しを検討し始めていると語りました。
更に、長引く飛行制限が開発行試験や運用開始時期への影響を問われた同参謀総長は、正直に「大変懸念している:We are very concerned」と吐露しました。
これまで「大丈夫だと信じている」とか「以前より格段の進展」とか「確信を持っている」と言及してきたF-35に対し、本音が出たようです。
28日付Defense-News記事によれば
●6月23日に地上で発信準備をしていたF-35A型のエンジンから火災が発生した件は、ファンブレードとエンジン本体との過度な摩擦により引き起こされたが、その根本原因の調査は引き続き継続中である。
●原因調査の間、F-35の飛行には最大速度や最大荷重「G」の制限、更に3ヶ月から6ヶ月おきに当該部位を確認する運用制限が課されており、今後予定の本格的な飛行試験(全体の4割程度が未実施)に影響が出ている
●25日、Mark Welsh米空軍参謀総長がDefense-Newsの質問に答え、「エンジンの設計変更により同様の事故の再発を防止できる。製造企業が取り組んでいる」、「おそらく再設計の完了は近いと思う。再発防止のため、製造工程も見直すことになろう」と語った
●同参謀総長は開発行試験や運用開始時期への影響について「大変懸念している。開発途上の機体であり、おなじ事故の発生は避けたい」と正直に語った
●更にWelsh大将は「F-35は依然として飛行制限下にあり、必要な開発試験を制限して行っている。テスト飛行の進展を妨げているのだ」と言及したが、米空軍の運用開始予定時期(2016年8月)については「正確には見積もっていないが、もう少し余裕があると思う」と述べるに止めた
●F-35の運用開始時期は海兵隊が2015年で、米海軍が2019年である。米空軍は2016年8月を予定しているが、同年12月までに運用開始できれば「予定通り」と見なす模様だ
●Welsh米空軍参謀総長は「今年末までには、試験を妨げている飛行制限が解除されるだろう」とも付け加えた
●エンジン製造企業の報道官は「我が社は問題解決につながると推測できる修正案を持っており、9月に国防省や米軍と共に確認試験を予定している。細部については言及できない」とコメントした
●国防省F-35計画室報道官は、火災原因の調査が継続中だと認めるに止めた。
/////////////////////////////////////////////////////////////////
6月の火災以来、固唾を飲んで世界中の関係者が注目してきたF-35エンジン問題ですが、深刻な状況が見えてきました。
Welsh大将はより詳細な情報に接していると思われ、そんな中から控えめな発言を行ったのでしょうが、世間一般から見れば大変な事態です
「今年末までには、試験を妨げている飛行制限が解除されるだろう」とは驚きました。楽観的に見積もって、今年いっぱいですか・・・
既に製造したエンジンの改修経費等はどうなるのでしょうか・・・