4日付Defense-Newsが、同日韓国が発表した「米韓連合の北朝鮮WMD対処部隊を編成」について紹介しています。
米韓関係は必ずしも順調だとは思いませんが、北朝鮮の大量破壊兵器WMDは、在韓米軍にも米国本土にも被害を与えかねない代物ですので、米軍にとっても優先度の高い取り組みなのでしょう
4日付Defense-Newsによれば
●4日、韓国国防省の報道官は、2015年度前半に米軍少将を指揮官とする米韓初の戦闘部隊としての「連合部隊:combined field combat unit」を立ち上げると述べた。
●ただし、その任務については、将来起こりうる北との戦いに備える為としか言及せず、細部を説明しなかった
●韓国メディアのYonhap news agencyは本件について、当該部隊は北朝鮮との戦争が勃発した際、北のWMDを攻撃・無効化する任務を帯びた部隊だと示唆している。
●国防省報道官はメディア報道についての言及を避けた。
●同報道官は、当該部隊の本部がソウル南部のUijeongbuに置かれ、米韓共用のオフィスが設けられると述べた。なお同本部が設置される基地は、米陸軍第2歩兵師団が重要地域として所在している場所である
●韓国軍関係者は、北との戦争発生時は、韓国陸軍の機械化旅団も米第2師団と一体となって作戦行動を行うと述べ、ヘリや最新装備を保有する米陸軍との共同は「米艦同盟強化のシンボルとなる」と表現している
●米艦連合軍の戦時作戦統制権移管が2015年に迫っており、総計64万人の兵力の作戦統制権が米軍指揮官から韓国軍指揮官に移行する予定だが、韓国は不安定な北朝鮮情勢を理由に、その延期を要望している。
読売の報道によれば
●韓国国防省は4日、ソウル北方にある軍事境界線付近の京畿道(キョンギド)議政府(ウィジョンブ)市一帯に展開する在韓米軍第2師団と韓国軍の旅団級の戦車部隊が、来年前半に「連合師団」を編成すると発表。
●同省によると、2国の軍が混成で連合師団を組織するのは、世界的にも異例。北朝鮮の脅威に対する抑止力強化の一環としている。
●連合師団に編入される韓国軍の戦車部隊は、平時は韓国軍の指揮系統の下で議政府に駐屯し、第2師団と合同で訓練も行って戦術の強化を図る。戦術面で経験豊富な米軍と、地形を熟知し機動力が高い韓国軍の利点を合わせ作戦能力の向上を図る狙いという。
●有事の際は、第2師団とともに北朝鮮の核、ミサイルなどの大量破壊兵器の除去などにあたる。
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米側から積極的発表がないことから、米側の力の入れ具合は不明です。
でも、米側にとって重要な部隊だろうとは推測可能です
米艦連合軍の戦時作戦統制権移管は、反米姿勢が際立ち、自主国防を訴えた盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が、米国への強硬姿勢を示すため、米国が反対するとの前提で要求したものです。
しかし韓国側の予想に反し、国防費増大に悩むブッシュ前政権はあっさり韓国への移管に合意し、韓国側が真っ青になったとの経緯があるものです。
当時は韓国も言い出しっぺなので引くに引けず、2012年4月の移管で話がまとまったのですが、朝鮮半島の安保に不安を訴える李明博(イ・ミョンバク)政権の要望などで、15年末に移管時期が修正された経緯があります。