3日、米国防省のF-35計画室長は記者団に、エンジン火災で飛行制限が課せられているF-35に関し、「9月末までに制限が解除されなければ、運用開始時期などの将来日程を遅らせることを検討せざるを得なくなる」と語りました
また6月23日のエンジン火災のメカニズムについて、初めて明らかにしました
3日付Defense-News記事によれば
●海兵隊用F-35Bについては、来年夏の運用開始を維持したいが、現在の飛行制限のために30~45日を追加を余儀なくされるような向かい風がある。
●海軍用のF-35Cについては、洋上での試験等が現在の飛行制限の影響を受けている、と述べた。(空軍用F-35Aについては語らず)
●F-35計画室長Bogdan中将は、エンジン火災についても語った。なんと原因は火災の3週間前に発生していたのだ。
●当該機が火災の3週間前のフライトで、離陸後に2秒間「G」を掛けながら旋回した際、エンジン摩擦が過剰になり、エンジン温度が2倍になった。これが原因でエンジンのブレードに「微細な亀裂」が入った
●そして火災発生日、「微細な亀裂」が「high cycle fatigue」で拡大し、亀裂ブレード破断して飛散して左燃料タンクを傷つけて火災が発生してた
●継続中の事故調査では、「微細な亀裂」の原因を4つの候補にまで絞り込んでおり、9月末までに原因を特定すべく努力されている
●他の航空機のエンジンはマイクロスコープで点検し、「微細な亀裂」は見つからなかった。しかし、同種の事案に繋がりかねない潜在的事案部位は複数見つかっている
対処の方向性
●既に製造された機体のエンジンについては、問題のファンブレード部分を交換する事が検討されており、Pratt & Whitneyは如何に経費がかさんでも改修費用の負担に同意している
●F-35計画室長は、解決策を探るためのプロトタイプエンジンを製作するとの方針を明らかにし、2週間以内に段階的な試験運転を開始すると述べた。
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恐らく、F-35計画室長Bogdan中将は慎重に言葉を選び、関係国や議会等に余計な心配をさせないように慎重な発言をしているのでしょうが、事故原因が速やかに特定され、交換部品の設計が順調に進み、その部品が大丈夫だと確認することが短時間で可能とは思えません。
今後様々に報道されるでしょうが、第一報としてご紹介しました。
Bogdan中将の苦悩を思うと、これ以上のコメントが浮かびません・・・