23日、訪中したイラン海軍司令官が中国海軍司令官や中国国防相と会談し、両国海軍による外洋での演習等の協力関係強化を進めることで合意した模様です。
イランと中国の関係は、独善的な面があったアフマディネジャド前大統領時代に停滞又は後退しましたが、2013年に就任したロウハニ新大統領の登場で改善に向かっているようです
今年9月にホルムズ海峡に臨むイラン海軍基地を中国艦艇が訪問した事を弾みとして、両海軍関係が進展しそうな予感です。イラン海軍は中国海軍から見れば「小さな」海軍ですから、イランが中国から得るモノが多いのかもしれません
27日付米海軍協会web記事によれば
●23日、訪中したイラン海軍司令官Habibollah Sayyari少将は、中国海軍司令官のWu Shengli(吴胜利)大将と会談した。イラン海軍司令官はイランのメディアに対し「実質的な協力の進展と軍事関係強化のために訪問した」と語った
●同日、Sayyari司令官はChang Wanquan(常万全)国防相とも会談し、両海軍の連携強化について議論した。
●中国国防省は国防相との会談について、「常万全大将は、両軍関係が相互訪問や訓練やその他の分野で良い協力を行っていると述べた。両国海軍の交流は実り多く、相互の艦艇訪問は成功裏に行われてきたとも表現した」とプレス発表を行っている
●中国とイラン発の報道によれば、両国間での(軍事)技術協力強化についても協議が行われたようだが、細部は明らかになっていない
●一連の会談の後、両者は共に初の外洋での共同演習(first-ever bilateral blue water naval exercise)への関心を表明している。9月の中国海軍艦艇によるイラン海軍基地訪問もあり、気運が生まれた模様だ
●ロウハニ新大統領の就任で、アフマディネジャド前大統領時代の(良好でなかった)両国関係を転換させるような動きが生まれている。
●また27日付Jane’sは、「イスラム国」の勢力拡大で、中国は中東での権益やエネルギー確保のための戦略を再検討し、イランとの軍事協力推進に舵を切ったのではないかと分析している
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イラン海軍は、3隻の旧式キロ級潜水艦と米海軍のフリゲート艦の半分の大きさの水上艦艇を保有する程度で、あとは小型ボートや小型潜水艦や機雷を備える程度の海軍です
この規模をどう捕らえるかは見方によりますが、ホルムズ海峡やペルシャ湾で騒動を起こし、世界経済に一撃を与えることは十分可能だと思われます
9月にはルーヤン2級とジャンカイ2級の2隻が、イランのBandar Abbas港(ホルムズ海峡に臨む港湾)を訪問し、限定的な捜索救難訓練を共同で行ったようです
両者が示唆した「外洋での共同演習」は象徴的な意味の計画でしょうが、中東の石油に依存する国にとっては「心中穏やかでない」両国の接近です
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