23日に米韓国防省会談、24日に米韓2+2がワシントンで開催され、23日の国防省会談で2015年12月に予定していた在韓米軍から韓国軍への戦時作戦統制権の移譲を再び延期することで合意しました。
「延期」といっても、韓国軍が十分な防衛能力を備えるまで延期という事実上の「無期限延期」です。
反米むき出しだった盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領(03年〜08年)時代に、韓国が「売り言葉」で返せと言ったら、中東で苦労していた米国が「買い言葉」で返してやると応え、予期せぬ米側の返事に韓国が青ざめたという情けない韓国外交の成れの果てです。
23日付米国防省web記事によれば
●23日、米韓の国防相は、2015年に予定していた朝鮮半島における米韓連合軍の戦時作戦統制権の韓国への移譲を延期することに合意した。理由は安全保障環境の変化で、両国が認識する北朝鮮によるミサイルと核脅威の増加も理由に含まれる
●国防相協議後に発表された共同声明によれば、両国は韓国政府が提案した「北朝鮮の脅威に対処する十分な防衛能力を韓国軍と米軍連合軍が備えることが作戦統制権移譲の前提」との条件を受け入れることに決定した
●ヘーゲル長官は「権限委譲の時期は延期になったが、いつ移譲するかを明らかにした。韓国が北朝鮮の脅威に対峙するに必要な能力を備えたときだ」と成果を語った
●更に同長官は「強調したいのは、米国が拡大抑止のために、朝鮮半島内外のあらゆる戦力を用いることにコミットしている点である」、「2万3千人以上の在韓米軍を維持することにもコミットする」と再確認した
●戦時作戦統制権は、朝鮮半島有事の際に作戦を指揮する権限。1950年からの朝鮮戦争(54年休戦)と米軍主体の国連軍派遣により、韓国は「作戦指揮権」をマッカーサー国連軍司令官(副司令官は韓国人)に移譲し、その後、米韓連合軍司令官(在韓米軍司令官を兼務)に継承された
●1994年には、米韓軍64万人の「平時」作戦統制権が米から韓に移譲されたが、「有事」の統制権は米側に残されている
●韓国の韓民求国防相は共同会見で、「韓国軍が中核的な軍事能力を確保するのは、2020年代半ばがメドだ」と表明した
●ヘーゲル長官も「(再延期は)統制権の移譲時に、増大する北朝鮮の脅威に対処する防衛能力を、韓国軍が保有することを確実にする」と述べた
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「戦時」の作戦統制権移譲については、反米の「自主国防」を主張する盧泰愚政権時代に要求が高まり、2007年に「2012年4月の移譲」で合意されたが、韓国内では対応能力などが不安視され、李明博政権時代の2010年に「移譲を2015年12月に先送り」すると決まっていたところです。
作戦統制権が移譲されれば米韓連合軍司令部は解体され、米韓の合同作戦計画も見直す必要があります。
また、今でさえ米軍兵士に人気の無い韓国勤務ですが、韓国軍人の指揮を受けるとなれば、より一段と心理面でも「韓国離れ」が進むでしょう。
韓国の国防相もよく言ったものです・・・「2020年代半ばがメドだ」などと(大笑い)
「ルトワックが日韓関係を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-17
「家族帯同増加を狙う対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-10-02