米中が宇宙情報共有で接近!?

Hyten.jpg5日、米空軍宇宙コマンド司令官であるJohn Hyten大将が講演で、米軍が主要国や宇宙関連企業に提供している「宇宙衝突防止情報:CSM:conjunction summary messages」を、中国にも中国軍関係部署に直接通報して欲しいと中国から要請を受けたと明らかにしました
西側主要国や関連企業には、迅速性を追求するため直接関係部署に通報していたものですが、中国とロシアには国務省等を経由していたため、タイムリーに情報が届きにくい状況にあるようです
情報の中身に変化はありませんが、中国側から「米国にお願い」があったことで、米国内では、米中関係好転の兆しか・・・との期待感が膨らんでいるようです。
14日付Defense-News記事によれば
spacechina.jpg●5日、米空軍宇宙コマンド司令官は空軍協会主催のイベントで、中国から初めて、宇宙情勢認識について軍と軍同士で直接共有したいとの要請があったと語った
●同宇宙コマンドは西側主要国や宇宙関連企業に、「CSM:conjunction summary messages」との短いレポートを提供し、宇宙での物体の衝突危険性に関する情報を提供している。受領者は時間的余裕を持って、危険回避策を講じるのだ
世界のほとんどの衛星運用者がCSMを直接受領して活用しているが、中国とロシアだけが例外である。この2国は、米軍から米国務省を通し、更に各国の外務省を挟んで最終的に中ロの衛星運用者に届く仕組みになっている
情報の流れに結節が多いため、CSMの伝達に時間が掛かり、時にはタイムリーに情報が活用できない状態に至る。
Hyten2.jpg●Hyten宇宙コマンド司令官は、「中国が情報を直接提供するよう要請してきた。これは大きな変化である」と語った。更に同司令官は、我々からすれば提供情報内容に変化はなく、提供先を変えるだけの話であり、それだけで時間短縮が出来るのだと説明した
●Hyten司令官は、この中国の動きを楽観的に見ており、「中国が宇宙における国際規範に加わる方向に向けたステップだ」、「素晴らしいことだ。これは我々が望む国際協力の一つだ」とまで持ち上げた
●シンクタンクのBrian Weeden氏は、「ロシアは冷戦期からの経験もあり、運用技術もあり洗練された衛星運用をしているが、中国はまだ未知の部分が多く、誤解や誤認のリスクが高い」と好意的に中国の要請を見ている
●同氏は「中国は競争者としてだけでなく、潜在的な敵対者となりうるが、連絡手段の確保と情報共有は事態のエスカレーション防止を手助けするだろう」とも語った
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Hyten3.jpg中国が何か相互協力を呼びかけたわけではなく、一方的に「直接軍に情報をくれ」と言っただけだと思うのですが、米側の「ぬか喜び」が気になります。
マキアベリは、相手に厳しく接していると、後に普通に接するだけで相手はこちらが「良い人になった、信頼できる人になった」と感じるものだと喝破しましたが、米中関係もそんな関係になったのかなぁ・・・と思う次第です。

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