2016年に武器輸出を解禁後の初案件
初級プロペラ練習機が歴史の扉を開ける
太平洋空軍司令官が自ら操縦して空輸
米国は1975年の南ベトナム崩壊によるベトナム戦争終了後、数十年にわたり旧ソ連やロシア製兵器を使用してきたベトナム軍に武器販売禁輸措置を維持してきましたが、2016年に禁輸措置を解除し、双方が手探りの長い交渉の末、2021年と2022年にベトナム空軍へT-6戦闘機12機を販売することに合意していました。(残りの7機は2025年納入予定)
到着直後の引渡し式でKnapper駐ベトナム米国大使は、
●「今回の機体納入は、ベトナムとのパートナーシップの拡大における重要な一歩です。T-6C練習機は、ベトナムのパイロット訓練プログラムを支援する貴重なアセットとなり、地域の安定と安全に貢献する、強く、繁栄し、独立し、回復力のあるベトナムを目指す共通のビジョンを反映しています」とその戦略的意義を改めて語りました
自ら機体を空輸したSchneider太平洋空軍司令官も、
●「本日ここに、ベトナム防空軍への最初のT-6航空機が到着したことは、貴国の空軍近代化の取り組みを支援するという米国の約束遂行を象徴するものです。この瞬間は、この地域における平和と法の支配に対する米国とベトナム両国が共有する決意を反映しています」とその重要性を強調しました
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末尾の過去記事でご紹介しているように、2010年代半ばから両国間の関係再構築が進められ、米海軍空母がベトナムに寄港したり、ベトナム沿岸警備隊に監視艦艇を売却したり、小型無人機スキャンイーグルをベトナム軍に売却したりして、対中国協力を徐々に強化してきたところです
本件を紹介する11月26日付米空軍協会web記事は、英国のIISS国際戦略研究所による分析「T-6練習機売却は、ベトナムに対する最も重要な米軍装備品販売である」を紹介し、更に米国とベトナムは最近、F-16戦闘機とC-130輸送機の売却について協議していると伝えています。
中国が急激な右肩下がり傾向にある中、このような関係強化はどんどん進めていただきたいと思います。
米ベトナム関係の回復
「戦後初米空軍トップが訪問」→https://holylandtokyo.com/2019/09/19/6651/
「戦争後初:米空母が訪問へ」→https://holylandtokyo.com/2018/02/28/7076/
「米国武器フル解禁発表」→https://holylandtokyo.com/2016/05/23/7660/
「2015年国防長官訪問」→https://holylandtokyo.com/2015/06/03/7993/
「武器輸出緩和方針発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-13-2