22日から3月1日まで、豪州のメルボルン近郊で開催されている航空宇宙展示会「Avalon 2015」で、お馴染み米国防省F-35計画室長Bogdan中将が記者懇談を行い、F-35の海外販売(FMS)は非常に感触が良く、シンガポールと継続中の協議も煮詰まりつつあると語りました
一方、既に発注済みの豪州軍担当将軍は、国際的な兵站支援システム「ALGS」開発の遅れとその運用についてを大きな懸念事項だと述べました
24日付Defense-Newsによれば
●F-35計画室長Bogdan中将は、シンガポール(星国)がF-35発注に近づいているとの趣旨の発言を行った
●また、最近イスラエルが14機の追加発注を公表したが、同中将は「FMS販売に関して、F-35への関心が潜在的な購入国の間で高まっている」、「星国を含む、複数のFMS顧客が、我々とのより広範な対話開始を要望している」とも表現した
●星国に関して同中将は、ここ数年に亘り、同国が意思決定出来るよう情報提供と意見交換を行ってきており、「議論は深化してきており、情報提供要望もより広範になってきている。これは同国が意思決定に向け次のステップに進んでいることを示唆しているのだろう」と語った
●星国はF-35の3形態(空軍型、空母艦載型、垂直離着陸型)の内、どれに関心を示しているのかを明らかにして居らず、3形態全ての情報収集を行っている。
豪州軍幹部の懸念
●豪州軍のF-35計画責任者であるChris Deeble少将は、豪州空軍が72機を購入し、初期受領機の運用開始を2020年とする計画は順調だとパネル議論で語った
●同少将は「開発計画終了時に、最終的にどのような能力を獲得出来ているかが重要だ」と述べ、今後迎える開発試験の山場に注目していることを示唆した
●また、「私の懸念は、維持と訓練と支援態勢である。依然開発段階にある国際的な兵站支援システムALGSが気になっている。開発が遅れており、その加速に努力すると共に、ALGSが国家安全保障の観点で何を意味するのかを理解する必要がある」とも付け加えた
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F-35に関しては、開発の遅れや性能への疑念をご紹介してきましたが、豪軍の少将が懸念するALGSもくせ者です。
全てのF-35ユーザー国が世界的規模で部品等を融通し合うシステム(うたい文句)だそうですが、システム開発がうまくいって居らず、本当に「全世界規模」で稼働するのか誰も自信が無いシステムです
F-35に関してほとんど言及しない(臭いものには蓋の姿勢堅持)防衛白書でさえ、26年版では「今後の進展に注視していく必要がある」と記述し、実質「不安で仕方が無い」と公言し始めました
シンガポールは偉いですね。慎重に慎重に検討しているのですから・・・
ところで「Avalon 2015」は、600以上の企業と20万人以上の来場者を見込まれる大きなイベントです。
豪州大陸の南端でこの規模のイベントが成立するとは驚きです。日本でも中国A2AD対処の軍事見本市「Cope Red EXPO」(仮称)を開催したいものです。名前にはひねりが足りませんが・・・
シンガポール関連の話題
「巨大気球で海空監視」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-04
「ドイツ製潜水艦2隻を契約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-03
「F-35交渉が難航?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-27
「米との戦略枠組みが難航?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-06