1月31日付Defense-Newsが、同27日から集中検討会議をスタートした米空軍委託の科学技術諮問会議(SAB:USAF Scientific Advisory Board)の検討テーマを、委員長の解説で説明しています。
検討は結果は7月に米空軍首脳に報告され、最終レポートは年末に提出されるようです
SABの委員長はWerner Dahm氏で、前米空軍首席科学者を勤めていた経歴の人です。
同諮問会議SABは、多様な分野から集められた約50名の研究者や科学者で構成され、毎年、米空軍が依頼したテーマ分野について、淡々と事実と現状に基づき、何がその分野で今後起こりうるかを時系列で予想し、投資の判断材料を提供します
Dahm委員長は「必要ならば警鐘をならすが、我々の仕事は何かを訴えることではない。科学的な根元的事実に基づき、現実的なタイムラインを提示することである」、「時には潜在敵国が予想よりも早く特定システムを実用化すると報告する事もある。しかし一方で、現実にはもっと時間が必要だと報告することもあるのだ」と語っています
今年の3テーマについて委員長は
Quantum(量子)システムについて
●量子システムを如何に米空軍で活用できるか、とのテーマである。これは決して量子コンピュータに限った検討ではない
●検討の範囲はもっともっと広範である。例えば量子システムは、空軍の暗号解読、光電や赤外線センサー、精密時計、暗号通信を大きく改善・飛躍させる可能性を秘めている
サイバー問題について
●航空及び宇宙プラットフォームにおけるサイバー関連の脆弱性関連のテーマである。サイバーは聞き慣れたテーマだが、今回はネットワークに接続しない内部システムが検討の対象である
●例えば、飛行制御コンピュータや航空機搭載レーダー等で、これまで注目されてこなかったが脆弱性が残る分野である
●Dahm委員長は「まだ要検討事項が多い分野だ。個々のシステム毎に対処を検討するのではなく、費用対効果の高い画期的な適応範囲の広い解決法を検討も行っている」と語った
無人システムについて
●強固に防御されたエリアで、如何に生存性を高める検討である。決して新しい検討課題ではないが、公に米空軍幹部もこの問題に取り組み始めたのである
●多様な検討オプションには、ステルス性を高めることや、単純に生存性を気にしなくて良いほどにシステム単価を低下させる方向性、更に複数の無人システム間の相互連接(cooperative interaction)等が含まれる
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約50名の委員には、どのような分野のどんな専門家が参加しているのでしょうか?
日本には国防技術に関し、このような継続的に独立的に提言や報告を行う科学技術関連の諮問組織はないと思います
あっても、限られた軍需産業や防衛省OBやお抱え科学者のグループだったりするのでしょう。東京大学には、未だに国防分野への技術協力を禁ずる規定が残っていると聞きましたが・・
Quantum(量子)システムですか・・・今後の勉強課題です。