長らく音信不通だったUCLASSに進展か?
空母艦載無人偵察攻撃システムUCLASSの検討は、米海軍VS国防省&有志議員の対立の中で「要求性能」がまとまらない状況になっていますが、基礎的な技術研究のため無人空母艦載試験機X-47Bを用いた試験が続いているようです
そんな中、米海軍幹部が、数週間以内にX-47Bに空中給油を行う試験を行うと語った模様です。
長時間の在空能力は機体の燃料搭載量に関連しますが、燃料タンクを大きくすればステルス性の確保が難しくなり、航続距離が短いとA2AD突破や遠方攻撃が困難になることから、将来のUCLASSを占う重要技術が空中給油技術です
3日付Defense-Tech記事によれば
●米海軍関係者は、UCLASS技術のデモ機であるX-47Bを使用し、数週間以内に空中給油を受ける試験を実施する予定だと語りました
●試験はPatuxent River海軍航空基地を拠点に計画され、契約企業が運用する空中給油機からX-47Bが給油を受ける予定である
●技術デモ機X-47Bは、2013年の5月と11月に空母からの離陸試験に成功し、昨年8月には空母ルーズベルトで、FA-18とX-47Bが短い間隔で連続着陸し、空母甲板上の狭いスペースでの機体の取り回し試験も開始され、その洗練に向けた試験が続いている
●(この記事の末尾に紹介する映像のようにX-47Bは、)8分間の飛行後にフックを利用して空母に着艦し、翼を折り畳みながら着陸スペースを空けるために甲板上を移動し、次に着陸するFA-18のための動きを披露している
●技術者達は、X-47Bが多艦載機との連続離発着が可能となるように、機体等の微調整に取り組んでいる
UCLASS要求性能を巡る議論
●米海軍はUCLASSに対し、「A2AD突破まで期待しない程度のステルス」、「軽攻撃能力」、「他機に空中給油可能」、「将来の能力向上が容易」等のレベルで要求値をまとめ、対テロ程度の能力で、対中国には不十分なレベルを想定した
●一方で国防省高官や国防関係議員は、十分なステルス性、長距離航続能力、突破力が必要ではないか主張し、2014年夏に4企業グループに提示される予定だった提案要求書RFP発出が延期
●今年2月の段階では、RFP発出は2016年になるのではとの関係者発言が漏れ聞こえていた状況。A2AD対処の主要装備品であるUCLASSは、他軍種の装備品と統合でファミリーとして運用されるため、統合の視点から必要な要求レベルを議論すべきと国防省や議会関係者は主張している
●一方で、2016年予算に強制削減が再び適応された場合、UCLASS議論自体が頓挫するのではとの視点もあり、今後の議論の方向は混沌とした状況
●Work国防副長官は3月の海軍協会総会で、RFP議論に進展はあるが、国防省と米海軍は公式提案要求に進むまでの段階に至っていないと語っている
●副長官は「本年の段階でRFP発出の準備がおおよそ出来ているが、統合作戦の中での役割を更に精査して適切な要求とするため、海軍と更に検討することで合意している」と説明している
●米海軍は2013年の段階で、4つの企業グループと、それぞれ約17億円の事前設計検討契約を行っている。4企業は「Boeing」「General Atomics Aeronautical Systems」「Lockheed Martin」と「Northrop Grumman」である
昨年8月の空母艦上での離着陸&取回し試験
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UCLASSには期待していたんですけどね・・・強制削減(sequestration)が再び襲いかかれば、全て吹っ飛んでしまうんでしょう・・。
亡国のF-35が生き残る中で・・・
ガイドラインとかの議論は細々と日本で報じられていますが、大波「強制削減」の情勢、つまり米国政治の機能不全具合についてももっと報道して欲しいものです
UCLASS関連の記事
「空母艦載無人機UCLASSの選定延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-05-1
「米海軍の組織防衛で混乱」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-01
「国防省がRFPに待った!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-12
「関連企業とRFP最終調整へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-19
「なぜUCLASSが給油任務を?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-02-1
「哀愁漂うUCLASS議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-17
「UCLASSで空中戦?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-24