安保論議は「高村節」が分かりやすい

annpohou.jpg2日付政治評論家杉浦正章さんのブログ「永田町幹竹割り」が、「安保論議は高村節が分かりやすい」との記事を掲載し、とかく難解な言葉が飛び交い、よほど安全保障問題に精通した人でないと難解で分かりにくい安保法制議論について、ざっくり解説を試みています
タイトルの通り、安保法制の与党内協議で1年間に亘り調整役を勤めてきた自民党副総裁・高村正彦氏の発言が一番分かりやすいとのスタンスで、安保法制に関するポイントを平易な言葉で伝えようとする試みです
この話題を全く取り上げる気にならなかったのですが、「すとんと落ちるキャッチコピーだ」と大ベテラン政治評論家が表する通り、ぐだぐだの議論を振り払い、大局を理解するには高村氏の「キャッチコピー」が有効かも知れません
杉浦正章さんの高村節ピックアップ
Koumura.jpg●安保法制をめぐる発言では副総裁・高村正彦の発言が一番分かりやすい。とかく難解な言葉が飛び交いがちだが「アメリカは世界の警察官疲れをしている」「台風は止められないが侵略は抑止できる」などの言葉はすっとふに落ちるキャッチコピーだ。
●「まるまる論」も面白い。高村は「集団的自衛権の行使と言っても国連が世界に認めているまるまるの集団的自衛権の行使をやろうというのではない。野党はまるまるだと攻めたてているが、日本防衛の目的があり、新3要件に合致する場合にのみ発動する限られた限られた集団的自衛権の行使だ」と説明する
●次ぎに「伝家の宝刀論」。「集団的自衛権の行使は伝家の宝刀だ。抜くぞと見せかけて抜かないところに抑止力が生じる」。たしかに安保法制は攻撃的な性格のものではなく、受動的な性格が濃厚であり、野党の言う「世界中で戦争をする国になる」こととはほど遠い。第一そんな国力は今米国しかない。
SUGIURA.jpg●その「弱ってきている」米国に関し高村は、「アメリカはかつては基地を提供してくれれば後は全部任せてくれという態度であった。今でも圧倒的に強いが、世界の警察官疲れをしている」と説明する。
●野党は「アメリカの肩代わりをすることになる」と追及するが、高村は「外形的には米国がやられているのを日本が守れば集団的自衛権の行使と言われざるを得ないが、あくまで自国防衛の目的を伴った限定的な行使だ」と述べる。
●野党の「世界の何処までもアメリカに付いていって戦争をする」との主張を全面的に否定しているのだ。
機雷除去と「巻き込まれ論」
総理が海外派兵の例外として、ホルムズ海峡の機雷除去を挙げていることについて「ペルシャ湾での機雷掃海ぐらいが後方支援の限界だ。その他に国民の生命を根底から覆される明白な危険が想定できない」と述べている。
機雷掃海が限界なら、イランも近ごろは軟化しており、予見しうる将来において機雷が撒かれる事態は想定できまい。その意味では机上の議論に過ぎない
Koumura3.jpg●また野党に「アメリカの戦争に巻き込まれる」論があることについて高村は「まず安保改定反対という人が巻き込まれると言った。次ぎに周辺事態立法の時も巻き込まれると言い、PKOを派遣する際も巻き込まれると主張した。
しかしかえって抑止が利いて日本は70年間平和だ巻き込まれる危険と抑止力で未然に防止する効果とどっちが大きいかは火を見るより明らか。台風は止められないが侵略は抑止できる」と反論。
●確かに国会論議を見ると野党は勉強不足で古くてさび付いた安保論争を展開している。社会党が社民党へと「極小化」してしまったことを見ても、自民党政権の判断は正しかったことを物語る。
//////////////////////////////////////////
「東京の郊外より・・・」をご覧の方からすると、米側の日本への期待が大きく膨らみつつある中、「自国防衛の目的を伴った限定的な行使」、「ペルシャ湾での機雷掃海ぐらいが後方支援の限界」で収まるのか、また杉浦氏の「イランも近ごろは軟化しており、予見しうる将来において機雷が撒かれる事態は想定できまい」との見積もりは甘いのでは・・・と心配かも知れません。
innovation.jpgでも、職場の同僚や中学生の子供さん、自治会のおばちゃんに聞かれたら、このような「キャッチコピー」解説がとりあえず有効かも知れません。
「巻き込まれ論」の部分などその典型でしょう。どこかの政党の「さび付いた安保論争」に影響を受けた一般の方には、「安保改定の時も、PKO法の時も、周辺事態法の時も・・」とお話しするのでしょう
一言だけ言わせてもらえば、脅威の変化の中で真に抑止力を高めようとすれば、安保法制と併せ、敵攻撃の被害に強い強靱で粘り強い軍事力が欠かせません。従って戦闘機中心の防衛力整備は見直すべきです!
よ・・・く考えてみよう:戦闘機への過重投資は適切なのか?
「脅威の本質を見極めよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08
「戦闘機の呪縛から脱せよ」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
「悲劇:国産F-3戦闘機開発へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
「世界共通の中国軍事脅威観」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-30

タイトルとURLをコピーしました