無人機操縦者の確保策:3年我慢で有人機可

James4.jpg15日、James空軍長官らが米空軍の無人機操縦者育成や勤務状況について語り、不足する無人機操縦者の確保と「引き留め」策についても明らかにしました
今年4月にカーター国防長官が、無人機による連続哨戒点を「65」から「61」に削減する事を許可し、10月には「60」にまで低下する模様ですが、まだまだ無人機操縦者の確保は困難が続きそうです
カーター長官によ哨戒点削減発表は、2016年度予算案説明に付随するものでしたが、「情勢」と「無人機操縦者の不足」と両方の理由を背景に挙げていたと記憶します
無人機操縦者は有人機の4倍飛行
UAV-cookpit.jpg●James空軍長官は講演で、新卒採用者にパイロット教育することで、今後1年間で80名の無人機操縦者を確保出来るだろうが、この数は必要人数の半分強に過ぎないと語った。必要数が要請出来ない理由は教官要員の不足で、実戦任務が多く、教官に経験者を充当出来ないと背景を説明した
●また空軍長官は、戦闘機操縦者の年間飛行時間が平均250時間であるのに対し、無人機操縦者は900時間飛行任務に就いており、6日間連続勤務や職場での拘束時間が13時間が常態になっていると述べた
●無人機操縦者の「引き留め策」として、6年以上の経験を有する操縦者が5年又は8年の勤務延長に合意する場合は、年間180万円のボーナスを当該期間支給する施策を実施している
●更に空軍は議会に対し、無人機シミュレータや管制装置、関連施設用に120億円の予算を要求している。また部外の文民教官を雇用する予算も要求に含まれている
●また空軍長官は、無人機を自動で離着陸出来れば人員を削減出来ることから、本方面での技術開発にも投資をしたいと説明した
アメとムチ:3年我慢で有人機可
MQ-9-2.jpg●James空軍長官は15日付の文書で、今後1年間に操縦コースを卒業する80名には、これまでとは異なり直接無人機任務についてもらうと明らかにした。同時にその代わり、平均約3年間の無人機任期を終えた後は、有人機に戻れる道を確保すると述べた
●長官は「無人機MQ-1/9の成功は優れた空軍兵士によって達成されたが、操縦者の直接供給が無いと、今後その成功にはリスクを伴う」と説明した
●Karns米空軍報道官によれば、平均3年の無人勤務を終えたものに有人機への道を確保する制度の過去の経験(2009年から2011年)によれば、無人機任務に残ったのは3割だった
●また報道官は、米空軍の現在の任務遂行状況からすれば、年間300名の操縦者を養成する必要があるが、190名しか養成出来ていないと語った
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引き続き米空軍の「もがき」が続いています。
現在は、無人機操縦者を有人機パイロットの仲間として位置付けていますが、そうすると自然と「上下意識」や「格差意識」が生じますし、異なる性格のものを同グループで扱うことから生じる違和感が内部に生まれます
UAV cockpit2.jpg一層のこと、全く異なる呼び名や管理とし、無人機操縦者には一般軍人とは異なる組織文化を適応するのも一案かも知れません。
部下は持たず、無人機運用技術者として個人個人で管理され、技能と資格と経験だけで報酬が決定され、他の職域との交流も無く転勤も無く・・・と言った世界はどうでしょうか。今の若い人や女性に人気が出るのでは・・と思います
管理者には有人機操縦者上がりが配置され、作戦運用全般や「無人機運用技術者」の監督を行う・・といった割り切りです
無人機操縦者の記事
「無人機操縦者の離職止まず」→→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-31
「無人機操縦者手当を2倍以上に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-17
「無人機は事故率6倍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-21-1

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