9日、次の統合参謀本部議長候補のDunford海兵隊司令官が、議会承認を得るため上院軍事委員会に出席し、諸問題に対する所信を述べ、承認に問題は無い模様です。
一方、同委員会でのDunford大将の発言の中には、現在のオバマ政権の方向性とは異なる考え方の主張もあり、軍人最上位の大統領アドバイザーとしての「意地」も見せたようです
9日付米空軍協会web記事から、Dunford大将が語った主要な事項をつまみ食いでご紹介します
ロシアが最大の脅威だ
●周辺国への侵略的な姿勢を示し、核兵器を保有するロシアが、米国にとって最大の安全保障上の脅威である。
●同時に、米国に到達する弾道ミサイルを保有する中国も懸念材料だ
種々の軍事的施策について
●Dunford大将は、オバマ政権が拒絶しているウクライナへの致死性兵器(防御用や情報収集装備ではないもの)提供を支持する意向を表明した
●また(情勢の変化に関わりなく)計画日程通りにアフガニスタンから米軍兵力を削減する現政権の意向に関しても、反対する意見を述べた
●更に、マケイン上院軍事委員長が、米軍による訓練を受けたシリア反政府軍をシリア政府軍の攻撃から防護する義務があると主張していることに関し、同意する考えを示した
●一方で、オバマ政権が求めている強制削減への反対姿勢には同調し、議会側が「overseas contingency operations予算」を強制削減対処にあてがう計画を持っていることに関し、長期的な解決にならないと反対姿勢を示した
●また、文民機関を強制削減で縛ることは、対IS作戦に大きな妨げになると訴えた
核戦力の維持について
●核抑止の3本柱はどれも重要であり、新しい爆撃機、地上と海の核ミサイルは相互に補完し合う関係にある。決して役割が重複していない。従って、老朽化が進む核関連装備の近代化が必要である。
●オハイオ級戦略原潜の後継への予算確保は、従来の海軍の予算枠とは別枠で考えるべきである。
●核抑止の3本柱の維持が予算制約で困難だとの考えはなく、どうしたら維持していけるかを考えるべきである
Dunford大将の発言に関する米国防省web記事
→http://www.defense.gov/news/newsarticle.aspx?id=129248
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ロシアについては「greatest threat」で、中国については「threatとは区別し、安全保障上のconcern」「カレントな脅威では必ずしもない」で「(ロシアに次いで)2番目」だと明確に表現しています。
決して中国を軽く見ているわけではなく、ロシアの動きから目を離せない「今そこにある危機」だとの主張でしょう。
「政争の具」と化した安保法制議論と、中国株とギリシャの話題でメディアは賑わっていますが、Dunford大将の言葉を極東の我々も聞き取る必要があるでしょう
Dunford大将の経歴や業績
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-02