日露関係を「直球分析」と「変化球分析」で考察

Abe-Putin.jpgロシアのウクライナや中東シリアでの「横暴」が目に余り欧米諸国の怒りが頂点に達しつつある中、日露関係者の協議が、両国首脳を含めて活発化しています。
安倍首相は何を考えているのだろう? 米国との関係は大丈夫か?・・・等々の心配の声も上がる中、「直球正当派分析」と「変化球裏通分析」の2つをご紹介し、本件に関する思索を深めたいと思います
「直球正当派分析」は21日付「岡崎研究所の世界潮流を読む」で推測・茂田宏氏の分析、「変化球裏通分析」は9日付「杉浦正章ブログ:永田町幹竹割り」からです。
復習:最近の日露協議
●9月21日:岸田外相とラブロフ外相が2時間半
●9月24日:谷内NSC局長とプーチンの懐刀が4時間半
●9月28日:安倍総理とプーチンが2人だけで10分間
(プーチンに安倍総理が駆け寄ったあの会談)
●10月8日:日露次官級協議
↓↓↓ 先に「直球正当派分析」 ↓↓↓
ロシアの意図不明:政治&軍事で対抗しかない
SU-24-1.jpgなぜロシアがシリアで軍事作戦を行っているのか、正確な動機は分からないが、米国への対抗、シリアでの橋頭堡維持、イランとの協力強化など、諸考慮があるのだろう。
●一方同時にこのロシアの政策は、米国、トルコ、NATO、サウジ等湾岸諸国、イスラエル、ヨルダンなどとの関係を損なう可能性大
●ロシアがシリア内戦に巻き込まれれ、ロシアの利益になるか疑問に思うが、国際社会やシリア人の大半が見限っているアサドをイランとともに支えるなら、それもロシアの選択
●対話で自制させるのはムリで、政治的に、又は軍事的に対抗するしか方策はない
日本の日露関係への姿勢
Abe-Putin2.jpg●この様な状況下で、日本は岸田外相を訪露(21日露外相と2時間半)させ、年内のプーチン訪日の実現等を目標にした対露外交をしている。
●日本の抗議を無視したメドヴェージェフ首相の択捉訪問の直後に、プーチン訪日準備のための岸田外相の訪露実施は理解しがたく、反発すべきには反発し、それにできるだけ実効性、持続性を持たせるのが対ロ外交では必要です。
●軽率な対露外交は、北方領土で何ら進展がない中、日露関係でG7の結束を乱し、米国の対日信頼を傷つけるなど、国益に反する
↓↓↓ 次に「変化球裏通分析」 ↓↓↓
杉浦正章氏の日露合作「芝居」説
●安倍はオバマよりプーチンの方がウマが合う。首脳の良好な関係にもかかわらず、表面にでるのは、露首相、副首相、保健相の北方領土訪問など、ロシア側の強硬な態度ばかりだ
Abe-Putin3.jpg●筆者はプーチンと安倍が「握っている」気がしてならない。「握っている」からこそ「お芝居」が可能となるのだ。誰を目当てのお芝居かと言えば日ソ両国の世論に対するお芝居だ。
日本の世論に対しては、ロシアがこんなに厳しくては、未来永劫4党返還など実現しないがそれでいいのかという問いかけであろう。
ロシアの世論に対しては、「日本を追い詰めてやったが、経済状況の好転をはかるにはもともと返す約束をした2島返還くらいの妥協はやむを得ない」ということであろう。
●筆者が推測すれば、まず「歯舞・色丹2島返還で合意するが平和条約は結ばないことで国後、択捉継続協議の担保とする」ところあたりが落としどころとなるのではないか
●期限は区切られている。プーチンの任期中でなければまず妥協は実現しまい。安倍とプーチンでなければ実現しない構図なのだ。
●ロシアは米欧の経済制裁で打撃を受け、加えて石油価格の暴落で経済状況は四苦八苦日本の経済協力はのどから手が出るほど欲しいのである。
●一方、主要国の中で、日本だけはロシアへの化石燃料の依存度を高め、かつては5%程度が8.5%まで上昇し、米国の神経を逆なでしている
Hoppou4tou.jpg●シリア中東混迷の中、日本が米欧諸国から八つ当たりされかねない状況でもある。ここは安倍が北方領土問題の特殊事情を米欧諸国に良く説明しておく必要がある。
●米国にすれば安倍が中露分断に成功し、2島でも返還されれば、地政学的にも戦略的にも日米同盟には有利に働くのだ。ロシアを孤立させて中国と結託させるべきではない。この様な大局をオバマに理解させておくべきだ
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両方の分析とも、安倍首相に日米関係への配慮を求め、西側諸国の中での日本の立場を心配している点では共通しています。
「井の中の蛙」議論に終わった「安保法制さわぎ」が安倍首相を傷つけ、短期的な成果を目指す方向に進まないことを願います。
ロシア関連の記事
「ロシア軍が鉄の壁」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-07
「イラン核合意で中露が中東で好き放題」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-08

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