8日付Defense-Newsは、最近の中国国営新聞「China Youth Daily:中国青年報」による、中国は年末までに空母の位置把握のための地球観測衛星「Gaofen-4:高分4号」を打ち上げるとの報道を紹介しています。まぁ・・実質は「画像静止衛星」だと解釈されていますが。
9月3日の戦勝70周年パレードで対艦弾道ミサイル(ASBM)DF-21Dを誇示し、更に第2列島線までをカバーするDF-26をASBMと場内アナウンスで紹介した中国ですが、着実にASBMの実現に近づいているようです。
控えめに見積もっても約1兆円の艦載装備と1兆円の空母本体、更に約5000名の乗員の生命を考えれば、米海軍空母は中国大陸にますます近接しずらくなるでしょう。間違いなく・・。
8日付Defense-News記事によれば
●中国は次々と、台湾有事の際に米軍空母を撃破する現実的な能力を手にしつつある。例えば中国軍は、米空母を危機に陥れる、DF-21DとDF-26との2つの対艦弾道ミサイルを開発した
●しかし、米空母の位置把握は容易でなく、中国は多様な航空機や艦艇用の空母監視や追尾センサーを開発してきた
●最近の中国国営紙「China Youth Daily:中国青年報」は、年末までに空母の位置把握のための画像静止衛星「Gaofen-4:高分4号」を打ち上げると報じている
●同衛星は、可視光で50m、赤外線で400mのものが見える装備を備えている模様
●中国軍事に関する研究者のKevin Pollpeter氏は、「高分衛星(Gaofen)シリーズの監視衛星は、中国の科学技術開発の中期及び長期計画に基づき、海洋監視のために初めて開発されたものである」、「中国は長射程の攻撃兵器開発に伴い、効果的な指揮統制ISRの必要性を痛感しており、広大な海面をカバーする画像センサーが求められていた」と背景を語っている
●また同氏は、画像情報伝達には時間が必要で、その間に空母は移動するが、おおよその位置は推測で把握可能だと付け加えた
●Hans Kristensen氏は、「Gaofen-4にも性能の限界があるが、中国は世界中の米空母の位置把握を追求しているのではなく、中国周辺の射程距離内の空母が対象だ」、「DF-21D操作員に衛星からの空母位置情報が断続的にでも伝えられれば、DF-21Dの誘導システムに継続的に情報が入力されるはずだ」と解説している
●政治的な意味について「Project 2049」のIan Easton氏は、中国が米空母を弾道ミサイルで攻撃する意図を明確にしているのに、米政権が中国に本件を問題として取り上げないことは「悲劇」だと語った
●同氏は「ホワイトハウスを訪問した習近平に対し、オバマ政権がASBM開発を外交問題として取り上げなかったことは、米国や同盟国艦艇を狙う中国のASBM開発を認めることになる。そんな国は何処にも無い。米国の沈黙は自爆行為だ」と訴えている
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1996年台湾総統選挙時、米空母2隻を台湾近海に派遣されて屈辱の沈黙を強いられた中国は、「臥薪嘗胆」の苦節20年を経て、西側軍事力の弱点を突く完璧な態勢を固めつつあります
上記記事は、「DF-21Dは運用可能態勢で部隊配備され、DF-26の現状は不明」と記述しています。ただ、DF-21Dによる水上移動目標を対象にした実験は確認されておらず、ぼんやり感は残っています
「高分衛星(Gaofen)」シリーズについては、記事以上の知識を持ち合わせていません。あしからず
ウィキペディアは→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E5%88%86_(%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E8%A1%9B%E6%98%9F)
「西側仰天:DF-26もASBMだと中国説明」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04
「海国防衛ジャーナル」が中国弾道ミサイルを詳細解説
→http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50754011.html