不満です:カーター国防長官のTPP祝福声明

TPP7.jpg5日、延期を重ねたTPP閣僚会合が最終的に開催され、TPP交渉の大筋合意が発表されました。
そして「大筋合意」が報道されるやいなや、間髪を入れず、カーター国防長官がTPP米国代表団フロマン代表等を「ねぎらい」「TPPの意義」を語る声明を発表しています
まんぐーすは経済交渉の細部が分かりませんが、「日本のTPP反対派」のメンツが「黒々」しているので「TPPには大賛成」です。また、米国政府として自由貿易を推進する姿勢は良く理解出来ますし、カーター国防長官がこれを喜ぶのは自然です
でも、米国防長官が声明まで出して交渉代表団を讃え、TPPの重要性を語る必要があるのでしょうか?
米国経済の成長が国防予算確保に直結することは当然ですし、TPP関連のアジア太平洋諸国が一致団結してパートナー関係を強化することは、「安全保障の強化」に繋がることは明らかですし喜ばしいことです。
しかし、ケリー国務長官が声明を発するのとは異なり、カーター国防長官が喜ぶと軍事的な弱みを強調する結果にならないでしょうか?
TPP-Graphic.jpgカーター国防長官は就任直後、「アジア太平洋リバランス特設webページ」を開設し、米国防省や米軍の取り組みをアピールし始めました。結構なことです。
しかし同サイト開設時、トップページの最上段に、デカデカと一番目立つ大きさで「TPPの重要性」を訴える図を掲載し、軍事面の強化やその必要性を訴えるのでは無く、TPP交渉成立に期待する姿勢を「いの一番」に打ち出し、物議を醸しました。
なお、「TPPの図(写真上)」は、縮小はされましたが、現在もトップページ下部側面に解説付で掲載されています
5日付TPP合意に関する米国防長官声明の概要
●(国防長官として)私は、歴史的な11カ国によるTPP合意をまとめ上げたフロマン代表や交渉チームにお祝い申し上げる
米国軍事力は活発な経済によって支えられている。TPPは成長する市場へのアクセスを増やして輸出を促進する
TPP2.jpgオバマ大統領が述べ、私も繰り返し明示しているように、TPPはアジア太平洋リバランスの極めて重要な一部を構成するという、強い戦略的認識の基でも重要である
●我々の戦略は、関係国全てが上向きに発展する地域の安全保障枠組みを推進することにある
●共通原則と開放性、更に高い規範を通じて構築されるパートナー関係により、TPPは地域の不安定さを減じ、世界でも成長著しいこの地域における米国の影響力と指導力を確固とするものになろう
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しつこいですがもう一度言います
言いたいことは本音としてよく分かりますし、経済的相互依存が避けて通れない重要な現実であることも理解しているつもりです。
TPP3.jpgしかしカーター長官殿、あなたが正面に出て訴える必要がありますか? 記者に問われたとき、質問に返す形で語れば良い内容ではありませんか???
シリア情勢大混乱な中、カーター長官におかれましては、表面だけでも「でんと構えて」頂きたいものです!
ご参考:6月8日にはカーター&ケリー長官連名で
「USA Today」にTPP重要を訴える投稿を
→http://www.sankei.com/world/news/150609/wor1506090014-n1.html
4月6日には「TPPは空母くらい重要」と来日前に講演
→http://www.news24.jp/articles/2015/04/07/10272504.html

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