突然:米空軍調達次官の退任会見

LaPlante-AFA2.jpg18日、米空軍省の調達担当次官William LaPlante氏が予期せぬ辞任を発表し、24日に記者会見を行いました。
同氏は今年夏から辞任して「MITRE社」へ移ることを希望していたようですが、次期爆撃機LRS-B選定の結果発表が終了するまでは「辞められない」の一念で、この日まで職務を続けてきたと語っています
会見の中では、米空軍が優先事業として求めている事業の「現状」について、「恨み節」も含めてLaPlante氏の見方を披露していますので、ご参考までご紹介します
最も大きい懸念事項は、先日ご紹介したロシア製ロケットエンジンRD-180がらみで、ULAの機種選定脱落が尾を引く軍事衛星打ち上げ問題でした
24日付Defense-News記事によれば
RD-180.jpg●24日、LaPlante氏はペンタゴンないで行われた円卓会見で、米空軍議場が直面する厳しい状況に欲求不満をにじませた
同氏が最も明確に懸念を表明したのは宇宙へのアクセスを支える衛星打ち上げ事業に関してであり、米国が議会や国防省等が要求するように急速に国産ロケットに転換出来るのかに疑問を呈した
●「複数企業による競争を求められ、2種類の打ち上げロケットの確保を求められ、更にロシア製エンジンからの脱却も求められている。どのようにわずか4年で3つの要求を満たすのか私には分からない」と率直に述べた
次期爆撃機LRS-Bに関しては、「機種選定結果を発表するまでは、やり遂げなければならないと考えていた」と述べ、敗者のボーイングとロッキードから不服申し立てが出ている件については、「私は自信を持っている。ただ、いつ不服申し立てに決着が付き、計画が計画時程に戻るか気になっている」と語った
●(F-35やLRS-Bと並んで空軍の優先事業である)次期空中給油機KC-46Aに関しては、スタートでは問題もあり初飛行が度々延期されたが、9月25日の初飛行以降は急速にテストが進んでいる語り、空中給油能力自体の確認が次のステップだと語った
F-35 fix.jpg●同氏は「ボーイング社は良い仕事をしており、予期していたよりも順調に飛行試験を実施している。我々が望むような状態にある」と表現した
F-35計画について同氏は、空軍型F-35Aは来年夏に初期運用態勢を確立するだろうが、次のチャレンジは増産体制の確立にあると語った
●同氏は「今年は年間150機の生産機数だったが、4年後には年間1000機を生産しなければならず、これはチャレンジだ」と表現した
●老朽化が進むJSTARSの後継に関しては、声が曇った。米空軍は後継機の計画を煮詰めているが、国防省は同計画を葬ろうとしていると懸念を示した
JSTARS5.jpg●「米空軍以外のペンタゴン内で、他の計画と比較してどちらを選択するかの議論されている。ある勢力はJSTARSとグローバルホークへの投資を比較して議論しているし、現代の戦いの中でJSTARSが有効か疑問を呈する勢力もある」と表現し、
●更に「A2AD環境下にJSTARSがフィットするかと疑問を呈する者も居る。果たして、A2AD環境に適した装備など他にあるのか?」、「しかし厳しい予算状況下では、この様な議論は継続するだろう」とも語った
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LaPLante2.jpgLaPlante氏はもともと理論物理学者でJohns Hopkins大学の学部長を勤めた経験もあり、2013年に筆頭次官補で国防省に入る直前まで「MITRE社」でBMD分析部長を務めていた人物で、2014年から次官を勤めていました。「MITRE社」へは復帰となります。
お疲れさまでした! 軍事衛星打ち上げロケット問題が大きな問題で、F-35の急増産が大きなチャレンジだとあらためて教えていただきました。
肝に銘じておきましょう
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「軍事衛星打ち上げ問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-24
「F-35の急激増産が課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-10-1
「KC-46A第一段階飛行試験終了」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-18
「米空軍内のJSTARS後継検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-11

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