核戦争状況での大統領を含む米軍の「保全され残存性が高い」指揮統制通信を担う新衛星通信装置FAB-Tが生産許可を獲得し、レイセオン社が計84セットの通信端末FAB-T製造を開始するようです
2022年までには、84セット全てのFAB-Tが各指揮所や重要航空機に配分設置され、より高度で打たれ強い指揮統制通信網を確立する予定です
ちょっと嬉しいのは、FAB-T開発の「senior materiel leader」として、日系のAmanda Kato大佐が活躍していることです。
10月27日付米空軍web記事によれば
●FAB-Tは「Family of Advanced Beyond Line-of-Sight Terminals」の略で、高度な極超短波(AEHF:Advanced Extremely High Frequency)を使用した衛星通信システム端末で、米軍戦略部隊に切れ目のない妨害に強い指揮統制能力を付与するものであ
る
●この新装備は新たな能力として、大統領を交えた国家レベルの会議、戦術警報伝送、緊急メッセージ配信、衛星追跡と管制、部隊報告等々を、核戦争状況下でも可能にする
●また開発経費を含めた総額約5000億円のFAB-T計画は、「Milstar衛星」や「AEHF衛星」を使用し、通信可能データ量と通信速度を大幅に増加させることができる。
●2014年6月にレイセオン社がFAB-T端末装置の製造企業に選定されており、約320億円で84セット(23個の航空機搭載型及び61個の地上施設用)のFAB-T端末装置を製造する。
●航空機搭載型は国家空中指揮機E-4Bや米海軍の潜水艦通信機E-6Bに搭載され、地上施設用は固定指揮所や移動指揮所に配備される
●最初の低速度初度生産段階LRIPでは、計10セット(6個を地上用、4個を航空機用)を製造するが、全てのFAB-Tは設置対象によって細部仕様が異なっている
●開発の拠点であるHanscom空軍基地で、FAB-Tの「senior materiel leader」を務めているAmanda Kato大佐は、「FAB-Tをこの段階まで仕上げたのは、同チームのこれまでの忍耐と努力である。製造及び部隊配備開始により、FAB-Tは統合部隊に不可欠な能力提供に一歩近づくことになる」と語っている
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FAB-Tに関しては、「核戦争状況下」との物々しい想定の装備ですが、強靭で攻撃や妨害に強い点ではA2AD対処装備とも言えましょう。
衛星を中継する通信なので、ちょっと心配ではありますが、多様な通信手段を確保しておくことが重要でしょう。
冒頭の図が示すように、戦略爆撃機や空中指揮機や地上指揮所を結ぶイメージなのでしょう。
左の写真は、5月に米国防省内で設定された「アジア系米国人月間」の期間に、Hanscom空軍基地でカトウ大佐が、「多様性が組織を成功に導く」とのテーマで講演会を行っている様子です。
自身の出生や日本との関係、アジアの文化についても語ったことでしょう
米国防省にはこのほかにも、「アフリカ系米国人月間」や「ヒスパニック月間」等が設定され、多様な背景を持つ人材の活躍を紹介し、相互理解の促進を図っています
米国防省で日系人が活躍
「日系女性が国防省ITを統括」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-30
「普天間担当:日系ナツハラ氏」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-13-1
日系人と442連隊
「イノウエ議員と442連隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-19
「映画公開と442部隊の魂」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-03