日本国防協会(公益財団法人で会長:中谷元、理事長:森勉)の機関誌「日本の国防」(平成28年1月号)が、同協会主催の講演会(27年6月17日)での元空幕長・田母神俊雄氏の講演を掲載しています。
この日本国防協会は、会長が防衛大臣で理事長が元陸幕長、そのほかにも理事や種々の役員に幕僚長や防衛事務次官や外務次官経験者が名を連ねる団体ですが、その場にあの「田母神氏」が復活したようです。梅雨のころに既に・・・
講演の冒頭で「(27年)11月でグビになって7年目になるのですが、私は今なお防衛省から排除されたままなのです。防衛省のいろいろな式典やそうゆうものに、私にはまったく声がかからないのです」と愚痴って、「何とかしてもらえないものか」、「もうあきらめています」と達観している同氏ですが、なんとなく復活の兆しです
約1時間半の講演では相変わらずの「田母神節」炸裂で、最後に「今日は言いたいことをまったく言えないまま終わりました」で笑いを取る締めとなっています
あんまり近づくと敵を作りそうなので、普段は離れて見ている方ですが、年末年始ですから余興として「田母神節」の一部をご紹介します。
政治に買わされた「グローバルホーク」と「オスプレイ」
●航空自衛隊はグローバルホークという丸2~3日も連続飛行偵察する無人偵察機を入れましたが、これはリアルタイムで情報を伝送できないタイプだそうです。
●なので、48時間空で取った情報を、地上に持って降りて解析する必要がある。そしてこの解析は米国企業しかできない。そこでまた米国に金をとられる
●防衛費が増えたからと言って、日本の防衛産業が大丈夫になるとは言えない。増えた以上に米国に持って行かれる。また当然、アメリカの会社が分析した情報の全てを、日本にそのまま渡すわけがないと考えるべきです。
●なぜこういうことになるか。現場の自衛隊が十分検討したうえで導入を決定したのではないのです。「グローバルホーク」と「オスプレイ」などは政治レベルで導入すると決めてしまうのです
戦闘機の細部も自由がきかない
●戦闘機の機種選定もそうです。戦闘機の機種が先に決まり、そこから細部の交渉が始まるのです。導入するのはわかっていますから、米国は(日本の要望を)絶対飲まないです
●(米国が提示した)条件が悪いから戦闘機を入れることをやめる決心を日本ができるか、できないです。
●アメリカは日本の弱点を知っている。(予算は年度内に執行する必要があることを米国は知っており、)4月に変更の要求を出しても、なかなか返事が来ず、米国の言うことを聞くしかなくなる年度末の2月ごろに返事が返ってくる。日本の予算システムにも問題はあるが、こんな繰り返しなのです
安倍総理の「女性が輝く社会」に
●2020年までに3割を女性管理職にすると総理は言っているが、「殿、正気ですか」と私は言いたい
●もともと女性の社会進出(ウーマンリブ運動)は、(女性への)増税が目的で始まったのです。税率は上げられないから、税金を余計にとるため「女を働かせればよい」となったのがスタートです。
●能力も意欲もある女性に「働くな」と言いたいわけではなく、「女性を処遇するな」と言っているわけではないが、能力のあるなしに関わらず3割の管理職といったら、日本の社会を壊してしまうと思う
●女性というものは通常、愛する男性に守られた生きたいと思っているのではないかと、私は思うのです。男性に愛されている女性は、男と同じ待遇など求めないのではないかと、私は固く信じています
中国空軍の戦闘機パイロットの飛行時間
●中国空軍の戦闘機パイロットの飛行時間、1年間にどれくらい飛ぶかで練度は決まります。中国は本当に飛んでませんから
●これは秘密らしいのです。だから捕まるといけませんから言いませんが、全然飛んでいませんから。あれで離陸着陸がやっとです。心配することはありません
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理解しやすいように言い回しは変えていますが、中身はそのままです。
真偽のほどはまんぐーすには分かりませんが、そのような講演をするであろうとある程度予測ができる「田母神氏」が、日本国防協会の「国防問題講演会」(毎月第2水曜日15時から)に講師として招聘されたことを「take note」しておきましょう
まぁ、「田母神氏」が言いたいのは、「日本を悪くしているのは自公連立政権」の公明党で、「自衛隊のやることをみんな邪魔をしているが、自衛官も公務員もそう言えないから(代わりに)憎まれ口をたたいている」ということ。
更に、「だから私は安倍政権の右側というか前というか、そこにしっかり柱を立てて、安倍総理もっとしっかりやってください、という政治家が集まった政党が必要だ」とも語っています。公明党への評価には同意です。
ご参考:「産経新聞論説委員の田母神論」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-01-13
●一番の問題は、本件を通じて保守が内部分裂を起こしたこと。あの事件の際、保守や自衛隊の人に、敵を間違えちゃいけない、敵は田母神さんではないといいましたが、非常に迷惑だという人もおり、結局保守が分裂する結果になった。
●保守系メディアは経営危機の中にあり、センセーショナリズムで書くメディアのみ受けがよい。いま田母神さんの周りにいるのは、センセーショナリズ保守メディアか立派でも直球しか投げない人達。
●我々は左翼から学ばなければいけない。テレビキャスターの口のうまさを見習わなければ。過激な左翼思想を持っているのに、テレビに出るとお利口になって、主婦や若い人達の間にスーと入ってしまう。我々は、もっと上品で、もっと人の耳に入りやすい心地よいスマートなやり方を学ばなければならない
日本国防協会webサイト
→http://www.kokuboukyoukai.jp/
田母神俊雄氏の講演「これでいいのか日本」
→http://www.kokuboukyoukai.jp/books-121tamogami.html