ほぉ:ロシアが戦略核魚雷と搭載潜水艦開発か?

Status-6.jpg4日付米海軍協会web記事は、ロシアが意図的にリークしたのではないかと考えられる数千マイルの射程を持つ戦略核魚雷(Status-6 or Kanyon)を紹介しつつ、使用目的が不明だった建設中の新型潜水艦が、同核魚雷の搭載母艦になるのではないかとの専門家意見を紹介しています
ロシアは、欧米がイランのミサイル脅威に対処するため東欧に配備を進めているBMDシステムに、ロシアの戦略核抑止力を殺ぐものだと強く反対していますが、空中を飛翔するICBMやSLBMに比して探知が極めて困難な戦略核魚雷で西側に対抗するのかも・・・と憶測を呼んでいます
技術的に実現可能性があるのか、軍事的に脅威なのか、意図的リークなのか・・等々の疑問は尽きず、よく分からない点も多いのですが、実現すれば核抑止やBMDの世界をひっくり返しそうな新兵器ですのでご紹介します
4日付米海軍協会web記事によれば
Status-63.jpg11月ロシアは国営放送で、誤って戦略核魚雷(Status-6 or Kanyon)の概要資料を放映してしまったと見せかけ、同魚雷の存在を世界に意図的にリークした
●同核魚雷の「概要資料」の中身を英国BBCは、「沿岸地域に存在する敵の政経中枢を破壊し、放射性物質によって広大なエリアを確実に壊滅的打撃を与え、敵国の軍事や政経活動を長期間にわたって不可能にする」と翻訳して紹介している
●リークされた「Status-6」資料の画像によると、戦略核魚雷は長さ約25mの原子炉推進魚雷で、射程距離は数千マイル、100メガトンの弾頭が搭載可能
●戦略核魚雷のリーク資料は、昨年明らかになったロシアのSevmash造船所で建造されていた謎の潜水艦「Project 09851 nuclear submarine Khabarovsk」の「謎」を解明するのではと考えられている
Status-62.jpg●海軍専門家のH I Sutton氏によれば、謎の潜水艦「Project 09851」はボレイ級戦略原潜に似ているが、全長が短く戦略ミサイル発射管が無い。Sutton氏は、この潜水艦は戦略核魚雷6発を搭載するのではないかと考えている
●Sutton氏は、2007年に現れた試験潜水艦「Sarov」は1発の核魚雷を搭載できたであろうが、それを発展させたのが「Project 09851」だと考えている
なぜ戦略核魚雷や搭載潜水艦が
プーチン大統領は、欧米がポーランドやルーマニアに配備を進めるBMD「Aegis Ashore」を、核抑止のバランスを損なうモノだと非難しているが、そんな中で戦略核魚雷の情報が出回った
米国務省の軍備管理担当Rose Gottemoeller次官補は、「懸念を持ってみている。ただし同システムが運用可能な状態になるならばだが。問題を引き起こすシステムだと思う」とのみ述べている
Status-64.jpg●この戦略核魚雷や謎の潜水艦については現時点で不明な点が多く、情報リークはロシア軍需産業を宣伝する効果を狙った側面指摘する人もいる
●米海軍協会のEric Wertheim氏は、「ロシア経済にとって、兵器や艦艇や潜水艦は依然として主要な収入源であり、実用化されるかは別として、新型魚雷や潜水艦の情報はロシア軍需産業の名声を高める効果を持っている」と見ている
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魚雷や潜水艦については基礎知識が不足しており、どれほどの実現可能性とインパクトがあるのかよく分かりません
核抑止理論への影響等々・・・どのような整理になるのでしょうか・・とりあえず情報提供まで
BMD「Aegis Ashore」関連の記事
「米議会が日本配備を要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-19
「米BMD予算は悲哀を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-22
「地上配備型イージス」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-10
「日米韓がBMD情報共有へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-05-1
「進化するイージスIAMD」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09

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