11月25日付「Military.com」によれば、米陸軍の最先任上級軍曹(下士官のトップで陸軍参謀総長に直接助言する立場)が、現役兵士の約1割の5万人が何らかの理由で「non-deployable:海外等へ派遣不可」な状態にあると問題視し、各部隊で訴えているようです
現在の米陸軍正規兵(active duty)が49万人で、今後2018年までに45万人に削減する計画になっていますが、10個師団からなる米陸軍で、約3個師団分に相当する兵士が「non-deployable」な状況だそうです
この比率は、2013年9月時点の14%からすると徐々に低下していると言うことで、また比較対照にする他国の状況も不明ですが、決して良い状態ではないと思うのでご参考までご紹介します
11月25日付「Military.com」によれば
●米陸軍のDaniel Dailey最先任上級軍曹はカンサス州の陸軍基地で下士官達を前に、3個師団分に相当する約5万人の米陸軍兵士が派遣不可な状態にあると語り、「仮に君たちが戦い勝利に向かって任務遂行できないなら、陸軍内に居場所はない」と訴えた
●最先任上級軍曹室によれば、州兵にも2.8万人、予備役兵にも約2.5万人の派遣展開不可な兵士が存在し、現役正規兵と会わせると10万人以上の兵士が派遣不可状態にある
●ちなみに「non-deployable兵士」の数字は、米陸軍内に存在する他の戦闘不可状態である、部隊移動状態(移動直前直後で稼働状態にない)や訓練状態の兵士、また学生からなる1割の兵士とは別である
●ただし、「non-deployable兵士」の比率は過去5年間減少を続けている。ちなみに2013年9月には14%であった。
●それでもDailey最先任上級軍曹は陸軍参謀総長のMark Milley大将に、「deployable:派遣可能」かどうかを評価用紙上で重視し、更に昇任や給与面でも差を付けて「non-deployable:海外等へ派遣不可」な状態を減らすよう提言している
●米陸軍現役正規兵の5万人の「non-deployable:海外等へ派遣不可」の内訳は、士官が4000名、下士官が44000名、その他が1000名である。
●更に5万人の中で3.7万人が「medical reasons:健康面」の理由で派遣不可となっている。その他は「administrative reasons:職務上派遣不可」や「legal reasons:規律違反や服務上の問題?」の者である
●「medical reasons:健康理由」の3.7万人は、30日以内に回復可能な「Category 1」27%、30日以上が回復に必要な「Category 2」50%、それ以上の深刻な負傷等(IEDや自動車事故)を負っている者「Category 3」23%、で構成されている
●「Category 2」には3ヶ月のリカバリー時間が与えられ、除籍になることなく回復や治療にあたる
●「Category 3」に判定され、制服を着て任務を遂行できなくなっても、彼らは威厳を持って処遇される
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断片的な情報で、これだけではコメントしにくいですが、イラクやアフガンでの負傷やメンタル面での問題を抱える兵士は減りつつあるが、自己管理不足や怠けを原因とする「non-deployable」が根強く相当数存在するとの問題認識だと思います
また、米陸軍の定員が削減されるかな、「non-deployable」を減らさないと組織運営上の問題が拡大するとの指摘でしょう。
「non-deployable」の基準もよく分かりませんが、先進国では多かれ少なかれ同じような数字なのかもしれません。
別の視点:性的襲撃(sexual assault)問題の深刻さ
「国防長官が対策会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-19
「指揮官を集め対策会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-04
「海軍トップも苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-20
「女性5人に一人が被害」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-10
「空軍内で既に今年600件」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19-1
「米軍内レイプ問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-19