匿名国防省幹部がA-10引退要求は延期と

A-10 4.jpg13日付各種米軍事メディアが、米空軍が2年前から要求してきたA-10攻撃機の全廃要求を当面取り下げると報じており、対ISや対露で存在感を見せているA-10の存続要求派から歓迎するコメント等がでています。
正式には、2月初旬に政府が公表する2017年度予算案で明らかになるのですが、いわゆる一つの「事前リーク」です
元々、米空軍は経費節減とF-35用整備員確保のため、苦肉の策としてA-10全廃を打ち出したのですが、その後の中東や東欧での需要や、予算強制削減の2年間猶予によって「当面維持」に落ち着くようです
しかし、F-35整備員確保はどうするのでしょうか? 薄く広く、いろんな所から捻出するのでしょうか
13日付各種米軍事メディアによれば
A-10 turn.jpg●2017年度予算案について匿名で語った国防省幹部は、現時点で正式には言えないが、A-10全廃要求案は凍結すると語った
米空軍の報道官は本件に関し、2017年度予算案は政府内で決定されたわけでは無く、何もコメントできないとしている
昨年11月、米空軍戦闘コマンド司令官のカーライル大将は、A-10への需要が前線部隊に有ることから「(A-10全廃)延期は正しい方向だろうし、それを少し延期することも現状からは考慮に値し、将来に先送りもあり得よう」と語っていた
●別の米空軍高官は、新たな航空機を導入するため依然としてA-10引退は必要だが、前線指揮官の要望に応えるため、引退時期を遅らすとの計算もあると述べている
McSally.jpg●上院軍事委員長のマケイン議員は、「米空軍が2017年度予算案でA-10維持案を打ち出す事を歓迎する。同機は対地支援機として地上部隊にとって世界中で不可欠である。世界が混迷の中にある中、早計に最高の対地支援機を引退させる事は出来ない」とコメントしている
自身がA-10操縦者だったMartha McSally上院議員(女性)は、「オバマ政権はやっとA-10の重要性を認識したようだ。中東でISと対峙し、欧州でロシアの侵攻を抑止し、朝鮮半島でも期待されるA-10を、もはや政権は否定できない」とコメントしている
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米空軍はかねてより、A-10全廃により4000億円以上の削減効果が期待できると主張してきたわけですが、その部分をどこかにしわ寄せするわけです
McSally2.jpg前線部隊からの要求は無視できないのですが、A-10存続派のメンツがすごいです
上記の元A-10操縦者McSally上院議員(女性)の他にも、夫が元A-10操縦者のAyotte上院議員(軍事委員会メンバー:A-10の件でJames空軍長官の承認を一時拒否)とか、強力な女性パワーが後ろに付いています
なお、A-10全廃を提案したWelsh空軍参謀総長はA-10操縦者としてキャリアを開始しており、A-10をよく知るメンバーが賛否に分かれて激突する構図となっています
それにしても、全世界から不安視されているF-35維持整備を担当する米空軍要員はどこから捻出するのでしょうか? そっちの方が興味津々です
A-10攻撃機関連の記事
「シリアへ派遣」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-21
「米陸軍は全廃容認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-29
「視界不良:A-10議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-07
「CASを統合で議論したい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-16-1
「F-35整備員問題は何処へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-18
「米空軍:A-10はあくまで全廃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-15
「A-10全廃案が浮上」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-16

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