よくわからない怪しい記事ですが、ご参考に
16日付台北発のDefense-News記事は、米国政府筋の情報として、台湾空軍が米海兵隊が引退させる中古AV-8ハリアーを購入する機会を得るだろうと報じています。
一方で同記事は、中古ハリアーが能力的にも維持経費的にも台湾空軍を満足させる装備では無く、また台湾空軍は「実現可能性が無い」F-35B購入を米国に強く要望しているとも報じています
また記事は、ハリアー製造企業のボーイングが、中国での商売がやりにくくなるので、台湾とのビジネスに消極的な様子も紹介しており、何処にハリアーを台湾に売却する推進力が存在するのだろう?と疑問が残る内容です
それでも、台湾は近未来の日本の国防を考える上で「注視すべき国」ですので、関連事情を知るためにご紹介します
16日付台北発Defense-News記事は
●米国政府筋は、米海兵隊がF-35B(垂直離着陸型)を導入することで不要になるAV-8ハリアーを、台湾が購入する機会を得るだろうと語った。この中古ハリアーは「米国Defense Security Cooperation Agency」を通じて台湾に提供されるだろう
●中国との有事の際、中国が1400発保有すると言われる弾道ミサイルにより数時間で台湾空軍基地が破壊されると見積もられることから、山間部に隠して運用可能な垂直離着陸機のハリアーが有効だと見られている
●米国の軍需産業専門家は、中古ハリアー売却を良いアイディアだとしながらも、「米海兵隊のハリアーは機体が既に使い古されており、高価な機体改修や搭載装備のアップグレードが無ければ使用に耐えられない」と語っている
●台湾軍も中古ハリアーに魅力を感じているわけでは無く、台湾国防省報道官は台湾空軍は超音速で垂直離着陸ができステルス等を備えた機体を求めており、「過去にハリアーを検討したことがあるが、台湾軍の要求性能を満たさない」と述べている
●一方で、台湾軍が強力にF-35Bの調達要求を続けていることには疑問の声が多い。米国政府筋は「台湾は新型のF-16C/Dも入手出来なかったのに、F-35Bが調達可能と考えているのか」と述べている
●また中国高官は、台湾への新型F-16C/Dの売却を「レッドライン」と呼んで米国を牽制している
●ハリアー製造企業のボーイングにとっても中古売却は問題の種で、中古ハリアーの台湾売却に関する質問に対し、ボーイング社は「何も言うことは無い」とコメントするに止まっている
●同社は2006年に台湾事務所を閉鎖し、また何度もDefense-News社に、ボーイング製アパッチヘリの台湾売却を記事にしないよう要求してきている
●ボーイング社は中国民間航空産業に多大な投資と事業関係を持っており、中国当局はこれらの関係を利用してボーイング社だけでなく、他の軍需産業にも影響力を行使しようとしている
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米国政府としては、台湾がしつこく垂直離着陸型のF-35Bを要求するので、同じ垂直離着陸能力を持つ中古ハリアーを交渉の場に持ち出すのでしょうか?
台湾で民進党に政権が移行し、中国経済の先行きが怪しくなり、加えて中国指導部の舵取りも迷走模様ですが、今後も「米国の台湾戦線異常なし」なのでしょうか・・・
台湾空軍の姿勢もどうなんでしょうか? 垂直離着陸ができるからと言って、F-35に大金を投入する事が最適な投資なんでしょうか?
記事の冒頭に紹介したのは「台湾空軍にF-35を」ワッペンで、2013年頃から台湾で出回っているようです。
台湾を巡り、政治面で新たな局面を迎えた今年、他に誰も関心が無いようなので、軍事面での動きにも注目して参りましょう
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岡崎研究所の台湾記事(2015年12月)
同床異夢の中台→http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5760?page=1
中台首脳会談の解釈→http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5692