7日、下院軍事委員会で各軍種の調達担当次官補が証言し、米海軍のSean Stackley次官補は、予算執行の柔軟性も認めることで、最新技術の取り込みや計画の修正を迅速に行える体制にしてほしいと要望しました。
より軽易に「プロトタイプを作成して検証」することが出来ないために、技術的優位が損なわれているとも表現しています
西側の国ならどこでも、きっちりと要求性能を固め、全体計画を立て、予算要求をして承認されなければ何も出来ないため、時間もかかって時代の変化についていけず、高価で無駄な装備を生み出してしまう問題を抱えています。
もちろん、お役所仕事だけでなく、担当者が数年で交代する軍の仕組みや軍需産業を含めた色々なしがらみも負の影響を与えているのですが、調達担当次官補の立場では予算制度の問題を指摘したいのでしょう
7日付米海軍協会web記事によれば
●この下院軍事委員会は、人的戦力管理から戦力構成、更には装備品調達にまで及ぶ分野で、再精査や見直しが必要な部分はないかを検討するために開催されたもので、上院でも同様の試みが進められている
●議員からは、開発期間とコストが上昇して調達が進まない海兵隊の着上陸用車両の問題を指摘し、「実行可能性を見極めた投資が必要だ。購入が不可能な(高価な)装備品開発にエネルギーを注ぐべきではない」等の発言があった
●Stackley次官補は、変化する脅威に迅速に対処するため、プロトタイプの作成や実証確認をより柔軟に行えるようにしてほしいと要望した
●同次官補は、現状の予算要求プロセスでは、対処の必要性を感じてから予算化するのに2年のギャップが最低生じてしまうと訴え、より柔軟な予算使用の裁量を認めるよう要望した
●「技術進歩の速度は、軍が新装備を導入するペースを上回り、現状の長期間を要する装備調達プロセスでは追いつけない」とStackley氏は訴えた
●この意見には同委員会に出席していた他軍種の調達担当次官補も同意し、次々と生み出される新技術へのアクセスをより容易にするため、軍事技術者や情報関係者、更には作戦運用者と連携し、必要な時には柔軟に計画の見直しを柔軟に行う事を認めてほしいと主張した
●更に海軍次官補は、プロトタイプの作成や実証確認を柔軟に容易に行うことにより、開発リスクを早期に察知し、要求性能を精査したり投資分野を精査したりすることが可能になり、技術の成熟と何をすべきかをより正確に把握できるとも主張した
●Stackley次官補は議員からの指摘に対し、着上陸車両のコスト削減に外部機関も導入して取り組んでいることや、オハイオ級戦略原潜の後継艦に関しても、先行的に調達計画を立て、例えばミサイル発射管を一括でまとめ買いする等の手法で価格低減に努めていると説明した
●また同次官補は、米海軍も米空軍の「Rapid Capability Office」ような部署を編成し、新技術の取り込みと巣備品の開発の迅速化に努めると説明した
///////////////////////////////////////////////////////
同じ委員会で、米空軍の調達担当次官補代理は、空軍の運用関係者と調達関係者と企業関係者等が早い段階から意思疎通を図り、要求性能の明確化と問題点洗い出しを迅速に風通し良く行い、もって迅速な装備化やコスト低減に繋げる取り組みを進めていると説明したようです
どれほどの具体的成果を生むのか、「焼け石に水」ではないのか?、国防省側の言い訳ではないのか?・・・・等々の突っ込みもありましょうが、一応ご紹介しておきます。
国防省や米空軍の取り組み
「計画初期から関係者が意思疎通」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-17
「James長官の調達改革」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-19
「Tech Outreach」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-28