温故知新シリーズ
2010年12月の記事です
「国際関係論」や「安全保障論」の教科書を書くなら、この言葉を引用したいもの・・・
2010年11月30日に行われた記者会見で、記者からの「wikileaksによる外交電報の漏洩公開が、外国との情報共有に影響があるか」との質問に、ゲーツ国防長官が以下のように答えています。
長い回答の一部分ですが、CIA叩き上げの職員そしてCIA長官として、また国防長官として、国益を賭けて外国と接してきた男の冷徹な「眼」がそこに感じられるのでご紹介します。記者会見のトランスクリプトは昨日と同じですが・・・
ゲーツ長官はまず、国防省として情報漏洩がこれ以上起こらないように様々な対策を実施し、更に情報管理の強化に今後も努力すると述べた後で・・・・・
記者会見でゲーツ国防長官は
●1970年代に、外国との情報交換で得た情報を米議会に提供することになれば、漏洩を恐れた諸外国が米国との情報交換を停止するのでは、との懸念が広く米国内にあった。しかしそれは間違った考えであったことが後に明らかになっている。米国との情報交換を停止した国はなかったのである。
●現実はこうである。米国と関係を持つ国は、その国の国益のためにそうしているのであって、米国が好きだからではなく、米国を信用しているからでもなく、また米国が秘密を守ってくれると信じているからでもない。
●いくつかの国は米国を恐れるが故に米国と関係を持っている。またいくつかの国は米国を尊敬しているからかも知れない。しかし大部分の国は米国が必要だから米国との関係を維持しているのだ。
●我が米国は依然として、これまでもそういわれてきたように、欠くことが出来ない国家なのである。
●故に、他国は今後も米国との関係を続けるだろるし、共に仕事に取り組むだろう。我々は我々で、今後も他国と機微な情報の交換を続けていくだろう。
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wikileaksによる漏洩は大問題で、決して無視は出来ません。米国は社会が危ない状況なのかも知れません。これに関してはブログ「国際情報センター」をご覧下さい。
→ http://blogs.yahoo.co.jp/kokusaijoho_center/36604484.html
一方で・・・
「国際関係論」や「安全保障論」の教科書を書くなら、紹介したゲーツ長官の言葉を冒頭で引用したいモノです。そのくらい冷徹な真実で有りながら、日本のプレスが言わない事実だと思います。
また、当たり前のことですが、上記の内容を発言しても問題にならないところが、国家やプレスの成熟度を示しています。また同時に、ゲーツ国防長官への信頼感の表れとHolylandは考えます。
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おまけです。
同記者会見で、「今回の情報漏洩が公になる前に、どこかの国へ事前に知らせたりお詫びをしたか?」との記者の質問に対し、
ゲーツ長官は「何もしていない」
マレン議長「私は連絡した。(どこへ?)パキスタンのカヤニ大将(軍のトップ)へである」
この辺りにも、米国が今どこに気を遣っているのかが現れています。
ロバート・ゲーツ語録100選
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19