HAAWC:高々度から魚雷発射可能に

HAAWC-ALA2.jpg米海軍とボーイングが2013年から開発契約している魚雷を高々度から発射可能にするキット(HAAWC-ALA)が兵器展示会に出品され、2017年にはMK54魚雷に取り付け対潜哨戒機P-8に搭載可能になる模様です
翼とGPS/INS誘導装置を備えたキットにより、これまで低高度から投下できなかった魚雷を、安全で乗員への負担の少ない高々度から乗員への投下可能にでき、魚雷の射程延伸にもなる装備です
MK54魚雷に取り付けるだけで、ほとんど魚雷に手を加える必要がない点もポイントのようです
細部の性能数値が不明ですが、その名称が示すように「潜水艦攻撃用の兵器」として位置づけられています。艦艇攻撃も当然出来るのでしょうが、飛翔距離もそれほど長く無いようなので、P-8やP-3が敵艦艇に接近して攻撃するのは危険でしょう
18日付Defense-News記事によれば
●18日の週に開催されていた「Sea-Air-Space conference」にボーイング社は、米海軍のP-8対潜哨戒機等用に開発しているHAAWC(High Altitude Anti-Submarine Warfare Weapon Capability)キットを展示した
●HAAWCキットは、MK54軽量魚雷に装着され、約3万フィート上空を飛行するP-8から投下され、キットに含まれた翼を広げてグラーダー飛行して目標近傍に到達する
目標近傍や事前に指定された海面近くに接近すると、小型パラシュートで減速してキットが魚雷から分離し、魚雷が水中に入って動作を開始する
●このような高々度の遠方から魚雷を投下可能にする技術は、中国やロシアの原子力潜水艦対処用に求められていた
2013年にHAAWC契約時の報道は
HAAWC-ALA.jpg2013年4月4日、米海軍海洋システムコマンドとボーイングは、HAAWCの設計製造に関する約20億円の契約締結を発表した
●これまでもMK54魚雷を航空機から投下することは出来たが、高度30m以下に降下してからしか投下できなかった。この低高度での飛行は、敵の脅威もあり、乗員への負担も課題であった
●HAAWCキットを装着したMK54魚雷は、高度3万フィートで航空機から投下後、約7~10分間グライダー飛行する
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対潜水艦作戦や魚雷のことに詳しくないのですが、JDAMキットのように、あまりお金を掛けることなく、兵器の効果を飛躍的に向上できる装置なのでしょう・・・
対中国軍を考えるとき、中国が潜水艦能力や対潜水艦作戦で相対的に西側に劣っている点が良く指摘されます。この分野で「我の有利」を拡大維持する努力はとっても重要です
もうすこしHAAWCの細部性能をご紹介したいのですが、疲れたので頓挫しました・・・
米国防省の「中国の軍事力」レポート
「2016年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06
「2013年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-08
「2012年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-19
「2011年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-25-1

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