4月25日付Defense-Newsは、ウクライナ大統領が中心になり、ルーマニアとブルガリアとともに3か国で連合陸軍旅団を編成する話が本格化していると伝えています
上記3か国に先立ち、既にウクライナ、ポーランドとリトアニアで同じく陸軍連合旅団を設立することが合意されており、2017年には戦闘態勢を確立することになっています
そのほか、チェコとハンガリーが共同で戦闘機飛行隊を編成する検討も行われているようであり、ロシアの脅威を目の前にした東欧諸国の取り組みが加速しています
そう言えば2月に、ドイツ軍とオランダ軍が陸海空軍の広範な分野で、自軍の部隊を相手国部隊の指揮下に入れて効率的運用を目指す合意をしていました。こちらは効率性重視かも知れませんが、欧州諸国の試験的取り組みに興味津々です
25日付Defense-Newsによれば
●(ルーマニア報道機関の)Noviniteによれば、ウクライナのPoroshenko大統領がルーマニアのIohannis大統領とブカレストで会談後、ブルガリアを合わせた3か国で連合陸軍旅団編成に向けた議論を開始すると発表した。
●ウクライナ大統領によれば、ブルガリアのPlevneliev大統領とは3月27日に本件について協議をしているとのことである
●この動きは、既にウクライナ、ポーランドとリトアニアによる4000名規模の「Litpolukrbrig」との連合陸軍旅団の創設合意に続くものである。なお「Litpolukrbrig」は、2017年に完全な即応態勢に入る予定
●ウクライナ大統領は、「Litpolukrbrig」をモデルにしたウクライナ、ルーマニアとブルガリアの検討は、地域の安全保障強化に大きな貢献となると語った
●ロシアのウクライナ侵攻による地域の緊張を受け、東欧諸国間では多くの国家間で軍事協力の動きが進んでいる
●例えば、チェコはハンガリーと共同で、JAS-39 Gripen戦闘機の飛行隊を立ち上げようと検討している。またブルガリアは、老朽化したソ連製戦闘機を、F-16やユーロファイターやグリペンを候補として更新しようと検討している
過去記事:ドイツとオランダが連合部隊創設へ
●2月4日、ドイツ国防大臣とオランダ国防大臣(両者とも女性)が合意文書に署名し、陸軍部隊や海兵部隊を相手国指揮下に編入したり、輸送補給船を共同使用や運行することなど、全軍に渡る装備や人員の共有共用を進める方向を確認
●合意の方向性
・2018年までにドイツ海兵部隊を段階的にオランダ海軍に編入
・ドイツが統合(両国共用の)支援艦を2隻調達する
・ドイツ軍の防空部隊をオランダ部隊の指揮下に入れることも検討(防空とミサイル防衛分野での協力深化に合意)
・オランダ保有の200m級の輸送艦Karel Doorman(戦略輸送、他艦艇への補給、直上陸作戦に使用可)を、ドイツが使用可能とする
・オランダ第43機構化旅団のドイツ陸軍第1戦車師団への編入
・オランダは公式に、3つ保有している陸軍旅団のうちの2つを、ドイツ軍指揮下に編入
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地図をご覧いただければわかるように、ロシア国境に接する国々で協力して旅団を編成しようとするものです。
それぞれに補って、やっとまともな陸軍旅団の形になるということなのか、国をまたいで柔軟に運用が可能ということなのか、とりあえず経費を「割り勘」したいということなのか、細部は不明ながら、欧州の東側では軍事面で「同盟以上」の動きが見られます
中国に面するアジア諸国では考えにくい動きですが、歴史的観点からも興味深い試み(機能しないに1票)ですので、いつものように「生暖かく」見守りたいと思います
過去記事:ドイツとオランダが連合部隊創設へ
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-05
東欧中心に徴兵制復活の動き
「世論支持7割でスウェーデンが検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-15
「ルーマニア・チェコ・リトアニア復活へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-04
「ノルウェーは女性徴兵へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-16
「オーストリア徴兵制維持へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-22