輸出用の中国製ステルス機J-31改良型初飛行

「廉価版F-35」がキャッチフレーズか
J-31 2nd.jpg26日付中国英字紙China Dailyが中国国有航空機メーカー関係者の話として、中国が最新の第5世代ステルス戦闘機として位置づける「J-31:殲(せん)31」の改良型試作機が、遼寧省瀋陽で初のテスト飛行を23日実施したと報じました
J-31は、2017年にも中国空軍に配備される見通しのステルス戦闘機「J-20」とは異なり、航空機メーカー主導(Shenyang Aircraft Corp,:AVIC:Aviation Industry Corp of China傘下企業)で開発され海外輸出用だと言われる一方で、J-20よりも機体が小さいことから、将来中国空母の艦載機として採用されるとの観測もあります
J-31の旧型機は、2014年に広東省珠海市で開かれた航空ショーで、黒煙を吐きながら飛行する様子が話題を呼んだところ、今回のテスト飛行に先立ち香港メディアは、改良型はエンジンがロシア製から国産に変更されたと報じていました。
26日付China Dailyによれば
J-31 2nd2.jpg●匿名を希望したAVICの広報幹部は初飛行の事実を認めたが、細部は公表できないと語った。AVICの資料によれば、J-31は、行動半径1250kmで最大速度Mac1.8、兵器搭載量は8トン、内部兵器庫に6発と翼下に6発のミサイル搭載可能
●双発でステルス性を備えたJ-31だが、2012年に初飛行を行った旧型試作機と比べ、新型機はステルス性能や武器搭載量などが改良された。23日朝に瀋陽で行われた改良型の初飛行では、機体や翼の形状も変更され、より軽量となり操作性が増したとみられる。
●北京の航空産業専門家Wu Peixin氏は、初期型J-31と比較し、胴体、翼、垂直尾翼がより細く、軽量で機動性を高めるよう変更されていると語った。
●中国空軍の航空専門家Fu Qianshao氏は、改良型が最新の光電目標照準システムやHMDシステムを備えていると解説している
●中国空軍の航空専門家Fu Qianshao氏は、J-31の価格を7千万ドル(約82億円)前後と推測し、「F-35の半額程度で第5世代戦闘機が購入できる」と指摘。また欧州企業の第4世代機タイフーンやラファールも1機115億円以上すると語り、J-31には明るい未来が待っていると自信を見せていた
J-31 2nd4.jpg●更に製造元AVICのLi Yuhai副社長幹部はかつて、J-31により「一部の国家」による第5代戦闘機の市場独占を打破できると主張していた。
●なお、F-35は米国の同盟国以外が購入するのは困難で、パキスタンなどがJ-31購入に関心を示しているとされる
●また、2015年11月にドバイで開催された第14回ドバイ航空ショーに、AVICはJ-31の大型模型を展示してアピールしていた
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同じ中国製ステルス機J-20が初公開された際の記事「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」(http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02)より、コメント部分を再度掲載致します。
戦闘機命派の皆様は、年末年始にじっくり考えて頂きたいと思います
J-20-1.jpg米国防省が毎年発表する「中国の軍事力」レポートは、中国が高列度の短期戦で地域での紛争に勝利する事を目指しており、そのため弾道・巡航ミサイルで作戦基盤を緒戦で叩き、サイバー戦や宇宙戦や電子戦で米軍が依存するネットワークを寸断麻痺させる事を目指し、着実に力を蓄えていると毎年記述している。
●「中国の軍事力」レポートに限らず、米国の主要シンクタンクもこの様な視点で中国の軍事脅威を捉えており、最近米空軍が取り組んでいる「2030年代の制空検討」においても、速度や機動性と言った空中戦能力よりも、遠方からの活動を意識した航続距離を重視する方向性が示唆されている
●中国空軍が「J-20」に何を期待しているのか定かではないが、日本の戦闘機命派が期待しているような空中戦能力を追求しているとは考えにくく、高価値航空目標攻撃や突破型戦闘爆撃機的な役割を狙っていると考えるのが自然だろう
今後この「J-20」をどのように日本の戦闘機命派が評価するかは、彼らの脅威認識の「リトマス試験紙」となり得る。
J-31関連の記事
「ドバイ航空ショーに登場」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-09
「J-31表面に異常な凹凸」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-06-1
「F-35に対抗?J-31珠海登場」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-11

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