Mattis元海兵隊大将が次期国防長官に

Mattis13.jpg1日夜、トランプ次期大統領が国防長官にJames Mattis元海兵隊大将(中央軍司令官で退役)を選んだとシンシナチでの集会で発表しました。
同日の報道を追認する形でしたが、11月19日に初面談した際のメディア対応や雰囲気から、現在はフーバー研究所の安全保障フェローを務める独身の元将軍選択を、米国は自然と受け止めているようです
1日付の同発表を紹介するDefense-News記事は、Mattis氏の議会受けが良く、軍人が退役後7年以内に国防長官になる場合に必要な、議会からの特別許可取得も問題ないだろうと報じています。
例えばマケイン上院軍事委員長はMattis氏を、「彼の世代の中で最良の軍人かつリーダーの一人だ」と表現し、上院での承認に大きな問題が無いことを示唆しています
本日は同Defense-News記事から、つまみ食いでMattis氏の考え方や人柄を示す部分を、つまみ食いでご紹介します
軍隊と一般国民との乖離を懸念
Mattis12.jpg●今年9月、Mattis氏は共著で「Warriors & Citizens:兵士と市民」とのタイトルの書籍を出版し、軍隊と一般国民との文化的な乖離問題を取り上げ、驚くべきレベルの一般国民の軍隊への無知と親近感の無さを描いた
●彼の調査によれば、3人に一人の米国民は軍隊にほとんど親近感を持っておらず、米国民の半分は過去1年間に軍人やその家族と接したことがない事が明らかになった。また多くの米国民は米軍の規模がどの程度かも知らない事も指摘している
●そして彼は「このギャップが拡大して共通の目的を見失うことが、問題だと考える」と語っており、この結果から、Mattis氏の国防長官としての優先事項の一つは、市民と軍の分断を埋めることになろう
●Mattis氏と同時期にNATO司令官として退役したJames Stavridis元海軍大将は、「Mattis氏は3つの重要要素を国防省に持ち込むだろう。まず現在進行中の軍事作戦への深く揺るぎない理解、次に軍の歴史と戦略を深く理解した知性、そして彼が支える前線部隊への強い愛情の3つである」と語っている
世界の諸問題に対する姿勢
Mattis11.jpg●最近、講演等で(加州のフーバー研究所から)ワシントンDC訪問が増えていたMattis氏は頻繁に、ますます危険になる世界に於いて、軍事的なリーダーシップや警戒心が必要だと訴えていた
トランプ氏が選挙戦で訴えていた「大きな軍隊と国防投資」と「諸外国との衝突を避ける外交政策」が、Mattis氏の従来の姿勢とどう結びつくのかよく分からない
●しかしMattis氏は8月に発表のレポートで、過去3つの米国政権を「国家安全保障ビジョンの不足」と表現し、中露やテロの脅威を無視してきたと非難している。
●そして「過去20年間、戦略無しに行動してきた米国を目の当たりにしてきた。あらなた脅威の見極めに遅れを取り、利害の優先順位付けを疎かにしてきた。そして敵や同盟国に一貫性のないメッセージを発信してきた」と述べている
●専門家は、アフガン作戦が上手く行っておらず、トランプ政権が新たな政策を必要とする最初の部分の一つであると見ており、トランプ大統領はMattis氏に対応を求めるだろうと述べている
現役時代からイランに対して警戒感をあらわにし、オバマ政権のイラン核合意に公然と強く反対してNSCチームと対立し、2013年に退役したとも見られているMattis氏は、就任後、イランへの姿勢を硬化させるだろう。むちとあめの同時使用でなく、ムチを先に、アメは後にの方針ではないか
中国やロシアに対し、トランプ政権は従来と異なったアプローチを求めるだろうが、Mattis氏は明らかに軍事的な力を問題解決に重要と考えるだろう
●CSBAのBryan Clark氏は「Mattis氏は両国との不同意部分について、より対峙する方向で強く主張するだろう」「両国が問題を起こす場所に、多くの戦力配備を望むだろう」と見ている
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Mattis5.jpgアフガン指揮官だった際の言葉「Be polite, be professional, but have a plan to kill everyone you meet」や、オバマ大統領が求めていた同性愛者に関する「言わない、聞かない方針撤廃」に正面切って反対を表明していたことを、国防長官候補者に名前が挙がった際にご紹介しました。
一方で、無類の読書好きで蔵書が6000冊、孫子、パットン将軍、シェイクスピア、ローマ皇帝で哲学者のマルクス・アウレリウス等の言葉を好んで引用する人物であることも、ここで再確認させて頂きます
現在の国防省リーダーを取り上げる際と全く視点や話題が異なるので、違う世界のことのようですが、これまで取り上げてきたゲーツ、パネッタ、ヘーゲル、カーター国防長官はオバマ政権下の国防長官であり、政権交代を目の当たりにする今回の変化は、こんなモノなのかも知れません。
Mattis14.jpg現在のカーター国防長官やWork副長官が精力的に推進してきた、「第3の相殺戦略」や関連の「最新民間技術の迅速発見活用」や、「Future of Force」等々がどうなるのかとても気になるので、誰か質問してくれないかと思うのですが、今後の国防省の雰囲気から徐々に明らかになるのでしょう
上記記事では、「昨年の春、Mattis氏の支援者が大統領選挙に同氏を立候補させようと動いたが、Mattis氏自身がその動きを封じて話は立ち消えになった」と紹介しており、そんな人望を集めるMattis氏に期待しておきましょう。
トランプ氏がMattis氏と面談
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-21

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