アジア安全保障会議に向けたアジアへのアピールか?
今後の同作戦の推移にご注目!
25日、昨年10月を最後に中断していた南シナ海における「航行の自由作戦」がトランプ政権下で初めて行われ、中国側もトランプ政権を試すかのようなコメントを行っていますのでご紹介しておきます。
それにしても、米軍事メディアにおける今回の「航行の自由作戦」の扱いは低調で、北朝鮮の核や弾道ミサイル問題にばかり注目が集まる中、間隙を縫ってヌケヌケと南シナ海で好き放題やっている中国の術中に、まんまとはめられている印象です
日本のメディアは流石に関心があり、26日付読売新聞は、トランプ政権が北朝鮮問題を優先課題とし、中国の協力を取り付けるため、米太平洋軍が2月以降に複数回の同作戦実施を上申したにも関わらず、国防省が認めなかったと紹介しています
また同報道では、トランプ大統領が中国主席とフロリダで会談後、2回に亘って直接中国主席に北朝鮮への働きかけを促し、催促する電話をしたが、期待する中国の動きが見られず、ついに中国を牽制する「航行の自由作戦」に出たとの見方を紹介しています
まんぐーす的には、恐らくマティス長官が参加する、6月2日からのアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアログ)で、米国の立場を悪くしない配慮も少しはあったかも・・です
今後の展開を含めた視点が必要ですが、とりあえず半年以上振りの「航行の自由作戦」と中国側の反応をご紹介します
追記:24日朝、海南島の東方上空を哨戒飛行中の米海軍機に、2機の中国軍機が異常接近したようです。いよいよ中国とトランプ政権の「探り合い」が「ジャブの応酬」になりかけています・・
25日付Military.com記事によれば
●25日、米海軍のミサイル巡洋艦「USS Dewey」が南シナ海で「航行の自由作戦」を行ったことを受け、中国国防省報道官は記者団に、米国当局に説明を求めるとコメントしている
●そして国防省報道官は、米艦艇が「中国が議論の余地が無い揺るぎなき主権を行使している」島々の近くを通過したと事象を表現しつつ、「中国は米国に誤りを正し、より前向きな軍事関係構築にエネルギーを振り向けるよう促す」と語った
●更に国防省報道官は付け加え、この様な行為は、海上における偶発的な事案のリスクを高め、「中国軍の軍事力強化を駆り立てるだけである」と述べた
●中国外務省の報道官は、「米国に過ちを正すように促し、当地域の平和と安全や、2国間の長期的な協力関係を害するこの様な行動を止めるよう求める」とコメントした
●5月始めに超党派の議員団が、昨年10月から中断している「航行の自由作戦」の再開をトランプ大統領に求めていた
●米国防省の報道官は、アジア太平洋地域の米軍部隊は引き続き同作戦を継続し、「海空使用の権利と自由を全ての国に保障するため、過剰な海洋権益主張に対抗する」と語った
米海軍P-3Cに中国軍機が異常接近
●26日に米国防省高官が米空軍協会に明らかにしたところによれば、24日朝0740頃、海南島の南東150マイルの公海上空を哨戒飛行中の米海軍P-3Cに対し、中国空軍のJ-10戦闘機2機が異常接近した
●中国戦闘機は約20分間にわたり、米軍機を両側から挟んだり、進路前方を横切るなどして約200m以内にまで接近し、米側搭乗員は「不安全行為」だと認識した
●似たような事象では、2016年5月に同じく海南島周辺で米海軍EP-3E電子偵察機に対し、中国J-11戦闘機2機が異常接近した事例や、同地域で2014年にP-8A哨戒機に対しJ-11が異常接近した事例がある。
●2001年のケースでは、E-P3に対し中国J-8が空中接触し、J-8操縦者が死亡、E-P3が海南島に緊急着陸する事態も発生している
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中国軍機による異常接近事例が発生頻度を増しており、「偶発的な事象」に発展することが懸念されます。
「航行の自由作戦」は、6月最初の週末に開催されるシャングリラ・ダイアログ(アジア安全保障会議)に向けた米国の一時的なアピールなのか、間隔を空けず、それなりに繰り返し実施されるのかに注目したいと思います
関連の記事
「同作戦中断への議員団抗議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-14
「比は航行の自由作戦の米軍機利用を認めない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-11
過去のアジア安全保障会議の記事は・・
「2016年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-30
「2015年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-28
「2014年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-27
「2013年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-31
「2012年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-25
「2011年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
「2010年会合」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-05