翼下燃料タンク機の空母フォード離陸は2019年以降

EMALSF18E.jpg7月27日付DODBuzzは、米海軍の新型フォード級空母に搭載する電磁式カタパルトEMALSの問題解決に目途が立ったが改良ソフトウェアを空母に搭載するのは2019年以降になるとの米海軍の発表を紹介しています。
この2014年春に発覚したEMALS(Electromagnetic Aircraft Launch System)の問題は、FA-18やEA-18Gが翼下に燃料タンクを装着した場合、EMALSで発進すると許容値を超える振動が翼下タンクに発生すると言うものです
関係する技術者達は、問題発覚時点から「これは解決可能だ」と確信していたようですが、それから3年以上経過した2017年夏になって対処策が確立できたというモノです。
EMALS2.jpgしかしその対策を5月31日に就航した空母フォードに組み込むには、2019年まで待つ必要があるとのお話しです。艦艇の修理や運用サイクルが体感できていないので何ともコメントできませんが、結構気の長いことです。
トランプ大統領が「EMALSはだめだ。蒸気のやつに戻せと指示した」とTime誌とのインタビューで語った話は何処へやら、淡々と米海軍はEMALSの成熟に取り組んでいます。大統領の発言は聞き流すとして、とりあえずご紹介しておきます
7月27日付DODBuzz記事によれば
●多くの作戦で、翼下に「480-gallon」燃料タンクを搭載して空母から離陸するFA-18やEA-18Gは、仮に同燃料タンクが使用できなければ作戦運用に大きな障害となる
●この問題への対処は、ハードの改修ではなくEMALSをコントロールするソフトの修正で行われ、アルゴリズムの修正は2015年には終了した
Ford-Class-Carrier.jpg●そして改良ソフトを2017年春に「Joint Base McGuire-Dix-Lakehurst」のEMALSに投入し、他のソフトとの適合性を確認して、その後71回のEMALSによる発進試験を経て、夏までに改修の有効性が確認できたと米海軍航空戦闘コマンドが発表した
●EMALS対策チームのGeorge Sulich氏は、「問題発覚時から解決可能だと確信していたし、ハードでなくソフトで解決するという美しい手法で実現出来た」と語り、FA-18とEA-18Gの両方が翼下に「480-gallon」燃料タンクを搭載可能になったと述べた
●ソフトの改修が2015年に終了していたのに、航空機での試験が1年遅れたのは、他に評価を急ぐシステム試験があったからだと関係者は説明している
●しかしフォード級空母の1番艦である空母フォードが新しいソフトを受け取るのは2019年になる。艦艇や乗員を1番艦にならすための最初の航海(shakedown)が終了後の、定期修理期間まで待つ必要があるからだ
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フォード級空母の1番艦が初期運用態勢IOCを獲得するのは2020年と予定されていますので、2019年に新ソフトを組み込んでも間に合うのでしょう
とりあえずは翼下タンク無しで離発着訓練を行い、新ソフト導入以降にタンク付訓練を行うのでしょうか? 
Trump-Time.jpgこれまでEMALSの問題についてご紹介したことがなかったのですが、トランプ大統領はこの話を聞いてTime誌の記者に、「俺はデジタルは良くないと思うぞ。だけどデジタルで行くと言うんだ。なんだそれ? 複雑すぎてアインシュタイン先生でないと上手く行かないぞ! それでもって、もっと空母が欲しいと言うから、どうするのか聞いたら、デジタルで行くと言うんだ。ダメだと言ってやったよ。蒸気式で行けと!デジタルは高価だし、良くないと言ってやった」と語ったのでしょうか?
トランプ発言は以下の過去記事でご確認下さい
EMALSとフォード級空母
「空母フォード:3年遅れで米海軍へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-03
「米海軍真っ青?トランプ:EMALSだめ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-13
「空母を値切って砕氷艦を!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-19
「フォード級空母を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「解説:電磁カタパルトEMALS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10

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