やっと「武装解除」を開始、今年はまず1機
来年から4機ずつ「Demilitarize」を
11日付Defense-Techが、伝説のステルス機である「F-117」が、現在も52機「飛行可能」な状態で保存されてきたが、今年から「武装解除」を「飛行可能状態解除」を開始することになっていると報じています。
いわゆる「第2の相殺戦略」で、革新的技術優位の柱の一つであったステルス性を小型作戦機で体現した「F-117 Nighthawk」は、研究開発開始から1980年代に運用態勢に入った後も、約9年間秘密のベールの中にあり、1989年12月19日の対パナマ作戦「Operation Just Cause」で初実戦デビューします。
その後、1991年の湾岸戦争でトマホーク巡航ミサイルと共に緒戦での精密誘導攻撃をリードし、世界のお茶の間にイラクの首都バクダッドの政経中枢への、TVゲームのようなピンポイント攻撃映像を提供して大きな衝撃を与えました。
2008年に第一線からの引退が決定されましたが、2014年と2016年にネバダ砂漠内で飛行情報や目撃情報が一般市民から報じられ、そのたび毎に様々な憶測を呼んできました。
しかし実際は、2008年に引退を命じた議会決定の中に、「52機を現役引退させるが、緊急時に必要が生じたら、実戦復帰できるような状態(flyable storage)で保存せよ」との内容が含まれていたとのことで、定期的に(恐らく機体状態の確認と操縦技量の維持のため)こっそり飛行していたようです
11日付Defense-Tech記事によれば
●米空軍幹部が11日に「Military.com」に語ったところによれば、昨年12月23日に議会で可決された2017年国防授権法(NDAA)により、今後毎年4機のペースでF-117を完全に廃棄することが決定されている。2017年は1機をまず廃棄する
●同幹部は匿名を条件に、「2017年NDAAで廃棄の指示が出るまで、我々は(52機)全てのF-117を飛行可能な状態で保管しなければならなかった」、「(ただし)一度に破棄するのではなく、飛行可能な機体も残しつつ段階的に、部品の取り卸しも行いつつ行う」と説明してくれた
●廃棄後の機体がどうなるかについて同幹部は、「国防省文書番号41-60.21のDefense Materiel Disposition Manualに規定された要領で行う」と述べ、博物館に展示されたり、他の政府機関に売却されたり、アリゾナのDavis-Monthan空軍基地に置かれたり等々の例を挙げた
●また飛行可能状態で保管されていたF-117について同幹部は、「秘密事項ではない:Flyable storage aircraft are not considered classified」と語っている
●先週5日、ネバダ砂漠で「秘密の航空機」が墜落し、操縦していたEric Schultz中佐(44歳)が死亡した事故があってから、F-117との関与が噂されていた
●この事故について空軍参謀総長は、F-35の事故ではないかとの噂を強く否定し、「F-35ではないとはっきり言える」とコメントしている
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いざという時に使いたかったんでしょうか?
初期のステルス機はステルスコーティング等の維持整備が大変で、52機もの「Flyable storage」には相当の予算が必要だったと思うのですが、厳しい予算の中でもこれを続けてきたんですねぇ・・・
米議会では非公開の検討会や情報ブリーフィングが行われており、相応の議論を経てこの保管がなされていたのでしょう。
F-117操縦者も、口に出さずに訓練を続けていたということでしょうか・・・?
F-117関連の記事
「F-117を約50機飛行可能で保管中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-06
「なぜ今もF-117が飛行するのか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-28
「ステルス機の意義と重要性」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-03