米国防省高官が注目の将来技術分野を語る

Defense C.jpg6日、Defense-News社が主催する将来に向けた技術開発や投資を語るDefense News Conference」が開催され、国防省の多様な技術関係部署から参加した4名の専門家が、それぞれ取り組んでいる近未来から将来の注目技術について語っています
米国防省が力を入れている全ての分野を網羅的にカバーしたものではなく、また事柄の性格上、細部にわたる言及があるわけではありませんが、国防省の関心の方向性の一端が垣間見える記事などでご紹介します
参加者4名は・・・
・Fred Kennedy:DARPAの戦術技術室長代理
・Sean Singleton:DIUxの業務開発営業部長
・Joe Capobianco大佐:米陸軍RCO(緊急能力開発室)参謀長
・Stacey Dixon:DARPAのインテル分野IARPA副部長
8日付Defense-News記事によれば
cyber1-82e9c.jpgIARPA副部長は2つの鍵となる分野に言及した。一つは人工知能AIで、もう一つは遺伝子操作などを生み出した「合成生物学:synthetic biology」である
●人工知能に関しては、津波に例えられる膨大なISR情報から必要な情報を選び出す過程での活用が期待されているが、同時に敵は米軍の盲点がそこにあると認識しており、敵が誤情報やフェイク情報を意図的に混入して米国を混乱させるリスクがあることに注意すべきである
●「合成生物学」は、一つの新技術や関連する事故が世界中に重大なインパクトを与えうる分野であり、極めて防御が難しい分野でもある。また、一つの国家だけでなく、一般に利用可能な技術を活用して個人単位で大きな影響を与える技術を生み出せる分野でもある。
●問題は、米国が種々の法律や規制でこの分野の(軍事的)利用を制限している一方で、「人の遺伝子:human genome」に関する規制が無かったり無視したりする国も存在する点である。実際、国際社会の中には、この分野に多額の投資を行っている国があり、敵対する可能性のある国も含まれている
X-51A2.jpg民間セクターのベンチャー技術や最新技術を迅速に国防省に取り込むことを目的とするDIUxの業務開発営業部長は、IARPAと共に「machine-learning」に取り組んでいること、また宇宙分野で多くの仕事に取り組んでいると語り、Blue Originの「Jeff Bezos」やバージン航空の「Richard Branson」などと連携していると語った
●また同副部長は、マティス国防長官の指示を受け陸軍RCOと、無人機対処に取り組みほか、東欧(ウクライナのこと)で(ロシア軍との)能力差が表面化した電子戦分野にも注力していることを強調した
米陸軍RCO参謀長はGPSなど兵器の精密誘導や状況把握に欠かせないインフラへの妨害の懸念を述べ、対処策に取り組んでいると語った
DARPAの戦術技術室長代理は、バイオ技術やサイバー技術などで他機関と研究分野が重なると述べつつも、DARPAがより長期的な視点で将来技術を見ていると説明し、作戦運用や調達分野での意思決定のスピードアップに取り組み、早急に結果を出して敵に先んじる必要があると語った
DEW.jpg●また、「破壊・破砕の概念:idea of disruption」整理に体系的・総合的な視点で取り組んでおり、敵に先んじるため、現在保有の戦力体系を将来の戦いを見据え、どのように変換していくかを検討する必要があると語った
●更にDARPAは、ミサイル防衛のためのレーザーや高エネルギー兵器、更は超超音速兵器は、国防省全体が注目している分野であると室長代理は語った
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レーザーなどエネルギー兵器、超超音速兵器、サイバーや電子戦、人工知能は、本ブログでお馴染の分野ですが、「破壊・破砕の概念」再検討は初耳です。
でも・・・、「合成生物学」や「human genome」と言われると恐怖を感じます。
既に某国からの輸入農産物などに添加され、長期的な作戦が遂行中だったりして・・・などと考えてしまいます
将来技術関連の記事
「DIUxとSCOの現在」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-12
「超超音速兵器に進化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-11
「DARPA長官が語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-11-1
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02
「ウクライナの教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08

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