28日付Defense-Newsは、まだ候補者ノミネートも行われていなかった国防省のアジア太平洋次官補(assistant secretary of defense for Asian and Pacific affairs)に、15年ほど前に同ポストを補佐する次官補代理を務めた経験を持つRandall Schriver氏が推薦されるだろう、とホワイトハウスがその意図を発表したと報じています。
ちなみにDefense-Newsは4月5日付の記事では、Schriver氏を一段上の「政策担当国防次官」候補として紹介しており、代表的軍事メディアとして「汚名挽回」の再予想です。
なお、国防省No3ポストとも言われる「政策担当国防次官」はまだ未定で、代理とし議会承認されたばかりの筆頭副次官のDavid Trachtenberg氏が務めている状態です。
「Trachtenberg氏推薦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-17
Schriver氏は、日本でお馴染みのアーミテージ氏と親しく、台湾に強い思い入れを持つ人物で、冷静でアジア太平洋に関する知見や経験も豊富で、国務省と国防省の両方で勤務経験が有ることから、これ以上ない候補者ではない、かとの意見をDefense-Newsは紹介しています
本日は、28日付記事よりもSchriver氏を紹介している4月5日付の記事で、Schriver氏のご経歴を紹介いたします。正式のノミネートは30日の週に行われるようですが・・・
4月5日付Defense-News記事によれば
●現在は、アーミテージ氏が設立したコンサルタント会社「Armitage International」に勤務。2003年から05年の間に国務省の東アジア太平洋次官補代理を務めており、同時期に国務副長官を務めたアーミテージ氏と行動を共にして国務省を出た経緯がある
●またSchriver氏は現在、シンクタンク「Project 2049 Institute」のCEOも務め、2049年までにより安全で安定したアジアを形成するための取り組みを続けている(注:2049年は中華人民共和国の100周年で、その時までに世界帝国になる目標を掲げている)
●国務省で仕事をする以前は、国防省でも多くの仕事をしており、97年から98年まで国防長官室の中国台湾モンゴル担当上級部長、1999年には海軍予備役士官として統参議長の特別補佐官や中国武官を経験
●2001年から03年までの間は、アーミテージ国務副長官の下で、首席政策補佐官やスタッフチーフを務めている
Schriver氏の評判
●同氏を知る元政府高官は、「とても堅実で、決して激しい感情を表に出すようなことはなく、クールな頭脳で思考をめぐらすタイプだ」、「大人で、政策決定プロセスを知り、政府中枢のほぼすべての高官たちと仕事をした経験を持つ」、「その知見や経験からして、最適任者だ。素晴らしい選択だ」と語っている
●もう一人の国防省高官は、「いい人材だ」、「特定のイデオロギーにとらわれた人物ではない」、「政策担当国防次官にはpol-mil経験や組織管理経験の不足を指摘するものがいたかもしれないが」 とコメントしている
●Schriver氏は台湾支持者で、「National Interests誌」にDan Blumental氏と共著で、トランプ大統領が当選直後に台湾総統へ電話したことについて、「中国-台湾-米国関係のリバランスに向けた素晴らしい第一歩だ」と表現している
●気になるのはクリントン候補への投票を宣言したアーミテージ氏とホワイトハウスの関係で、もし正式のノミネートされれば、アーミテージ氏との関係を重視しないとの判断であろう
●マティス長官とSchriver氏は、共にシンクタンクCNASの評議会のメンバー関連でつながりを持っているとも言われているが細部は不明である。
追記:将来の技術担当次官候補も
●Michael Griffin氏が、調達技術兵站担当の副次官(deputy undersecretary of acquisition, technology and logistics (AT&L))にノミネートされる。彼はブッシュ政権時代にNASA高官を務めていた人物である
●現在、AT&L次官にはEllen Lord女史が就任しているが、2018年2月1日には、調達兵站担当部門と技術開発部門に分離することが決まっており、議会承認されればGriffin氏が技術開発部門の次官に就任することになる
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まだノミネートもされてなかったのかよ・・・と言いたくなりますが、これが現実です。
アジア太平洋リバランスは見直す・・と宣言していた臨時の担当国務次官補がいましたが、どうなるのでしょうか???
よさそうな人なので、生暖かく期待いたしましょう!
「リバランスは終了へ:それで???」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-15