GAO:F-35の維持整備基盤は最大6年遅れ

11月から12機のF-35が6か月間嘉手納に展開するとのニュースが話題ですが・・・
F-35 Gilmore.jpg23日付Bloombergは、同社が入手した米会計検査院GAOが取りまとめ中のF-35関連文書の案を紹介し米国防省はF-35購入数を維持するのに必死で、維持整備体制構築まで手が回らず、必要な部品の入手や機体整備体制が遅れており、機体の非稼働率が高まってると報じています
そしてこのままでは、現在公表されている60年間のF-35ライフサイクルコストの枠にはとても収まらないだろうと警鐘鳴らしてるようです。
あくまでも「案」の段階の文書で、国防省F-35計画室もコメントする段階にないとそっけない対応ですが、「案」に示された数字や関係者の話から、機体購入ばかりに目が行き、維持整備体制構築が遅れているのは明らかで、ますます「亡国のF-35」度合いが高まっているようです
23日付Bloomberg記事によれば
F-35 3-type.jpg●GAOの報告書案によれば、最新の統計で、F-35部品の修理には平均172日も要しており、目標値の倍の時間がかかっており、部品不足から22%飛行時間を減らさざるを得ない状況にある
●国防省はF-35の調達コストが管理できるようになったと主張しているが、会計検査院は60年間のライフサイクルコストで見れば、追加で100兆円以上必要になると警告している
●国防省F-35計画室とロッキード社は、部品の調達を改善する計画を立てていると主張しているが、国防省の内部文書は、この部品調達加速計画が実行できるかは不透明だと指摘している、とGAO文書案は指摘している
●国防省の新しい兵站&開発担当次官であるEllen Lord女史は今月の講演で、「就任後の私の短時間の観察によれば、我が部署は装備品調達に信じられないほどの時間を費やしているが、装備品の維持面にほとんど時間を割いていない」と指摘し、
Lord.jpg●そして「装備品のライフサイクルコストの7割は、維持整備コストから生じていることを踏まえれば、この状態を改めなければならない」と正直に語っている
●F-35関連部品の維持整備修理施設は6か所の施設で実施する計画で、当初計画では昨年のうちにすべて完成しているはずだった。しかし関係者によれば、いくつかの整備施設は完成が6年遅れの2022年までずれ込むようである
●この原因をGAOは、米海軍と空軍が必要な予算を組めていないからだと指摘し、一方の米軍関係者は、国防省F-35計画室が予算要求に必要な整備補給施設の細部計画を適時適切に明らかにしないからだと主張している
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とりあえず機数をそろえろ・・・とは、組織上層部を占める戦闘機操縦者が言いそうなことで、どこの国の空軍でもありそうな話です。
F-35transonic.jpg国防省F-35計画室長は、今後控えているF-35の史上例を見ない「大増産計画」を表現し、「津波のような増産」と不謹慎な発言をしているようですが、その過程で機体価格を下げることばかりを議論し、維持整備施設や部品の修理体制が疎かになるのも、想像に難くありません
十分な能力も発揮できない機体を韓国や日本に派遣する話題ばかりを振りまき、プロが一番に考えるべき兵站をおろそかにするとは、まさに「亡国」の名にふさわしい堕落ぶりです
会計検査院GAOがF-35を酷評
「再度警告:開発と製造の同時並行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-10
「F-35最終試験は1年遅れでも不可能」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-17
「ALISにはバックアップが無い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-01

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