11日付Defense-Newsによれば、対北朝鮮に向けて在韓米軍で様々な課題が明らかになる中、9月に韓国を訪問した米陸軍の緊急能力造成室RCOの室長が、対北朝鮮に向け同室が緊急で取り組んでいる事項についてボンヤリ語りました
米陸軍の緊急能力造成室(RCO:Rapid Capabilities Office) は、米海軍や空軍の同様組織の成功を受け、2016年8月に発足したばかりですが、主に電子戦、位置特定航法、サイバー戦を力点に、部隊の要求を官僚機構をすっ飛ばして迅速に実現することを期待されている特別組織です
同記事は、電子戦やGPSが妨害を受けた際の位置特定航法技術の開発に取り組んでいる様子も紹介していますが、本日はとりあえず、対北朝鮮でどんな技術に取り組んでいるのか語った部分をご紹介します
11日付Defense-News記事によれば
●約5週間前に韓国を訪問したばかりのDoug Wiltsie緊急能力造成室RCO室長は、在韓米軍と米陸軍第8軍が、朝鮮半島情勢への対処に不足する部分を穴埋めするため、膨大な取り組みを行っていると5日語った
●そしてRCOは、既に中心課題として取り組んでいる電子戦や位置特定航法(PNT:Position, Navigation and Timing)のほかに、南北境界線付近に北朝鮮が仕組んでいる地下施設対処に注力していると同室長は語った
●更に室長は、「地下施設対処には、我がRCOだけでなく、米陸軍中が膨大な力をつぎ込んで取り組んでいる」、「北朝鮮は地下トンネルに野戦砲やロケット弾を隠しており、それらで緒戦を戦おうとしており、当然地下に弾薬を保管し、化学兵器も隠されていると見られている」と説明した
●そして、「膨大な地下施設の位置を特定し、どこに何があるのかを把握することで、作戦をどのように組み立てるべきかを考えることができる。このプロセスは本当に極めて重要な取り組みである(very, very important as part of that project)」と強調した
●地下施設特定に加え、電子戦も重要課題であるが、朝鮮半島での脅威対応は欧州大陸でのそれとは少し異なるとWiltsie室長は述べ、朝鮮半島では、まずより多くの航空アセットを投入し、後に地上アセットを送り込むことになろうが、どのように送り込むかが(how that is going to go in)現下の検討課題だと語った
●また位置特定航法(PNT)に関し取り組んでいる成果を、朝鮮半島に投入しようとしているとも語った
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イージス艦とパトリオットミサイルだけが「カラ元気」で懸命に活動し、戦闘機が何の意味もない「B-1爆撃機とのランデブー飛行」で忙しいふりをしている日本には、特に関係のない陸上自衛隊の皆様には、少しは刺激のある報道だったかもしれません
真剣に考えればそうですよねぇ・・・。38度線沿いの非武装地帯やその周辺の地下施設対処は最重要課題ですから・・・・
しかしこのWiltsie緊急能力造成室長の話からすると、まだまだ米軍は北朝鮮と正面切って対峙する状態には無いとも見えますし、こんな話を軍事メディアに語っていて大丈夫か???と思います。
言葉で北を威嚇しているつもりなんでしょうか???
米陸軍の新たな電子戦への取り組み
→https://www.defensenews.com/show-reporter/ausa/2017/10/11/heres-how-the-armys-electronic-warfare-program-differs-from-years-past/
RCOや同様の国防省組織
「米陸軍もRCO設立」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-01
「米高官が注目技術を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-09-1
「国防省戦略能力室SCOの主要課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-10
「カーター長官のSCOアピール」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-03