1日、米国防革新評議会(DIB)の議長でグーグル幹部であるEric Schmidt氏(AlphabetのCEO)が、CNASのAI関連イベントで講演し、昨年国家AI戦略を発表して精力的に取り組む中国が、2025年には国家戦略もない米国を追い越し、2030年にはAIで世界を支配すると警告しました
そして戦略もなく国がばらばらにAIに取り組み、更に有能な海外の人材を移民規制法で排除している米国の現状を危機的だと訴えました。
また中国をいつまでも2流国だと考えていたら大きな間違いだと主張しました。
2日付C4ISNET記事によれば
●ハイテクTI企業の代表格であるAlphabetのCEOで、グーグルの最高経営陣の一人である Schmidt氏は、もし米国が国家主導で精力を集中してAI分野に取り組まず、また移民政策を変更しなければ、米国は中国にAI分野で支配されると警告した
●そして、将来の商業分野と国防分野の両方を決定図けるであろうAIで後れを取りたくなかったら、米国は力を合わせて取り組まなければならないと訴えた
●具体的に同CEOは、昨年中国がAI国家戦略を発表したことを緊急事態警告だと認識すべきと語り、「事態は明白で、2020年までに中国は米国に追いつき、2025年には米国を追い越し、2030年には中国がAIで世界を支配する」と説明してその計画を解説し、「中国は計画通りに前進している」と述べた
●更に「国家戦略を発表した中国を2流国扱いしてはならない」、「中国にそんな人材はいない、そんなことはできないと考えているなら、完全に間違っている」と警鐘を鳴らした
●スプートニク・ショックともいえる時代にある米国の唯一の対策は、研究開発努力や資金をAIに集中することだとし、基礎研究投資の重要性を強調した。背景にはトランプ政権最初の予算編成で、AI関連予算を削減した経緯がある
●そして同CEOは「政府が私企業と共に、このAI技術が重要だと宣言する時だ。国家として共に行動することが求められている」と訴えた
●一方で Schmidt氏は、世界の優秀な頭脳の米国への入国を阻む移民政策が米国のアキレスけんになると警告し、「真に最高の頭脳を持った人々が、米国が入国を拒む国に存在し、彼らは他国でその能力を発揮するのだ。皆さんは優秀な彼らに米国で活躍してほしくないか?」と語り、
●「例えばイランには、世界最高峰のコンピュータ科学者がいるのだ。私は彼らに米国で活躍してほしいし、グーグルやAlphabetで働いてほしい。米国に入国できないなんて馬鹿げている」と訴えた
//////////////////////////////////////////////////////////
トランプ大統領が移民管理を厳しくすると打ち出した直後から、米ハイテク企業が先頭に立って反対運動を行っており、Eric Schmidt氏の主張はそんな背景があることを頭において見ていただきたいと思います
しかし、いろんな分野で、独裁国家が資源を集中し、反対派を押さえつけ、新しい分野で西側諸国を凌駕していく姿を目にする今日この頃です。
今後5年程度でAIで中国は米国に追いつくそうです。対日歴史問題に投入され、多量の歴史書き換えに利用されたりとか・・・悪い想像ばかりが頭に浮かびます・・・
技術革新の関連記事
「注目の将来技術分野を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-09-1
「DIUxとSCOの現在」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-12
「液体アンテナ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-01
「米ハイテク企業に中国資金が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-25
「超超音速兵器に進化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-11
「DARPA長官が語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-11-1
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02