海兵隊が輸送艦からロケット弾発射試験

HIMARS3.jpg10月22日、米海兵隊の揚陸輸送艦Anchorageに搭載した車両搭載ロケット弾発射機(HIMARS)からロケット弾で、約70㎞離れた陸上目標の攻撃に成功したようです。
実験は、20日から加州沖で実施れている米海軍と海兵隊の共同着上陸作戦演習「Dawn Blitz 17」で行われ、ちなみに同演習には陸自の1個中隊規模のみが海外から正式参加しています(オブザーバーはチリ、ペルー、コロンビア、メキシコから)
米軍は中国やロシアの対艦ミサイルの脅威を重視し、「クロスドメイン」や「マルチドメイン」の発想でこれに対処しようと取り組み始めていますが、これまで遠距離攻撃能力のなかった輸送艦に、軽易にロケット発射車両を搭載することで、攻撃能力を付与する発想です
25日付Defense-News記事によれば
HIMARS.jpg2010年から始まった着上陸作戦演習「Dawn Blitz」であるが、今年の同演習では、HIMARS(High Mobility Artillery Rocket System)と米海兵隊F-35Bを着上陸部隊に組み込むことを一つの眼目としている
●車載ロケット発射機を運用する士官は、「敵の強固な防御エリアで、長射程攻撃能力で地上部隊の活動を支援する方策を探っている」と説明した
●9月21日、海兵隊司令官のRobert Neller大将が海兵隊協会総会で、着上陸部隊に敵の沿岸防御部隊を妨害したり破砕する能力が必要になると述べ、「それが着上陸部隊艦艇の発射管からであれ、無人機からであれ、精密誘導兵器の射撃を目にするだろう」と予言し、
●更に同司令官は、海兵隊は将来「戦いの場に到達するために、戦わなければならなくなる」 と述べ、敵が米空母や輸送艦を洋上で攻撃する能力を蓄え、米軍艦艇群が敵の航空機や巡航ミサイルや防御システムの餌食になる可能性があると警鐘を鳴らしていた
Neller4.jpg●今や中国やロシアだけでなく、テロ組織のヒズボラやイエメンのHouthi rebelsも長射程ミサイルを備えており、2016年10月には、イエメン沖を航行中の米駆逐艦「Mason」に数発の巡航ミサイルが発射される事案も発生している
●そこで同司令官は、過去の戦いでも米海兵隊は沿岸防御を突破してきており、今後の課題はより遠方からその任務を果たすことだと語り、「仮に敵が数百マイル遠方から我が艦隊を攻撃できるなら、何とかしなければならない」、「だから我が艦艇も敵の攻撃能力を破砕しなければならない」と述べている
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中国の対艦巡航ミサイルの射程が1000nm、対艦弾道ミサイルが2300nmとか言われる中、射程70㎞のロケット弾では心もとないところですが、対テロ重視から本格紛争への備えにも舵を切った「Dawn Blitz」が始まったのが2010年ですから、仕方ないところでしょうか・・・
それにしても、Robert Neller海兵隊司令官の動きがどうしても気になります。今時珍しい、個性の強そうな方ですから
陸軍とクロスドメイン
「再度陸軍に南シナ海で活躍期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16
「ハリス長官がcross-domainを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-05
「ハリス大将も南シナ海で陸軍に期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06
「射程300kmの対艦ミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「CSBA:米陸軍をミサイル部隊に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14
「尖閣防衛に地対艦ミサイル開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-14
Neller海兵隊司令官の熱い信念
「被害状況に備え訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-16
「基本的な防御手段を復習せよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-10
「生活習慣を改善せよ!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-08

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