中国が先行する超超音速兵器をどうすべき

中国がHypersonics兵器で優位だと認める米軍幹部
Hypersonic4.jpg24日付米空軍協会web記事が、米空軍兵器開発のまとめ役で全体を把握している空軍副参謀総長Seve Wilson大将へのインタビュー記事を掲載し、次世代「Game Changer兵器」の有力候補である超超音速兵器(Hypersonics兵器) で中国が優位で、米国内でバラバラに行われている研究を束ねる必要があるとの危機感を伝えています
超超音速兵器は大気圏内を音速の5~10倍で飛翔する兵器で、米軍は通常兵器を搭載して「世界即時攻撃CPGS」構想を打ち出し、大陸間弾道弾ICBMのように核戦争を引き起こさず、世界中の目標を1時間以内に攻撃できる体制構築を描きました
そして米空軍や国防省研究機関が複数の開発を行い、2012~2013年頃には「X-51 Waverider」「米陸軍のAHW(Advanced Hypersonic Weapon)」「米空軍のHTV-2」などの名前を本ブログでも取り上げました。
Hypersonic3.jpgしかし2013年に「X-51」がマック5.1で約6分間飛行に成功して以来、予算不足を訴える国防省や米軍関係者の声をお伝えしましたが、具体的な開発や実験の話を取り上げた覚えがありません
ただ、中露の追い上げに危機感を持った米国関係者が、「第3の相殺戦略」議論と共にこの兵器開発に注目し、 2016年11月には「技術ブレークスルー:米空軍がロッキードと180億円契約」との記事でご紹介し、水面下で何らかの動きがある雰囲気をお伝えしました
今回の空軍副参謀総長Seve Wilson大将発言は現状を端的に表現したものと考えますが、米軍の技術優位がどんどん浸食されていく現状レポートのような雰囲気の記事です・・・
24日付米空軍協会web記事によれば
(Wilson大将のインタビューでの発言)
Wilson3.jpg中国がいかに多くの勢力をつぎ込んでこの兵器開発に取り組んでいるか、いかに多くの研究レポートを発表しているか、いかに多くのインフラ投資を行っているか、いかに多くの試験を行っているか・・・彼らは本当に超超音速技術実現に取り組んでいることを知るべきだ
米国はこの分野で世界をリードしてきた。誰よりも進んでいた。1960年代からラムジェット、スクラムジェット、ロケット航空機など米国は取り組んできた。しかし今やその当時のスピードや規模で取り組んでいな
●しかし現状として、誰か超超音速兵器について多様な米国内の努力を取りまとめる任務や責務を持つ個人や組織が存在しているだろうか? 私はそのような取りまとめ責任者を知らない。統合参謀本部や米軍、DARPA、SCOなどが並行して取り組んでいることは承知しているが、誰かが取りまとめなければならないと国防省で話をしている
●超超音速兵器に関し、米軍や産業化や学会で進展もある。AIでも、機械学習でも、量子コンピュータでもだが、すべての動きを束ねる大きく大変だが重要な仕事をする人が必要なのだ
hypersonic5.jpg●超超音速兵器に関して取りまとめる候補者としては、開発担当国防次官の下の次官補が考えられるが、まだ任命されていない(doesn’t exist yet
●我々は取りまとめ機構の全体を検討しており、どのような仕組みが良いか形がよいか考えている。専門家の知恵も借りて考えている
2013年の「X-51 Waverider vehicle」試験成功をうけ、2020年には兵器としての誕生も見据えたが、米空軍では2013年以降に大きな進展はオープンになっていない。
●米国防省関係者は、2019年度予算案で超超音速兵器が大きな予算を確保する方向だと語っているが
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米国防省機関や米軍を横断的に束ねて一つのベクトルに向かわせる必要性・・・古くて新しい議論ですが、しっかりやっていただきたものです
Hypersonic2.jpgしかしこの記事でご注目頂きたいのはWilson大将の最初の発言部分、「中国がいかに多くの勢力をつぎ込んでこの兵器開発に取り組んでいるか、いかに多くの研究レポートを発表しているか、いかに多くのインフラ投資を行っているか、いかに多くの試験を行っているか・・・彼らが本当に超超音速技術実現に取り組んでいることを知るべきだ」の部分です
中国がどの程度進んでいるのか語れませんが迎撃の難しい(地対空ミサイルでは追随できない)超超音速兵器を中国が手にする時が迫っているということです
超超音速兵器の関連
「米空軍が180億円契約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-11
「超超音速兵器の脅威が大きな話題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-19
「あのLM社も積極投資」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-17-1
「中国が優位なのか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-14
「ロシアも取り組み表明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-11
PGS関連の過去記事
「PGSに少し光り??」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-18
「パネッタ長官はPGSに期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-16
「X-51Aは初期実験段階」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-23

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