CSISが時代遅れの米国IAMDに提言

日本にとってはもっと重大な課題のはずです!
  
CSIS IAMD.jpg25日、シンクタンクCSISのミサイル脅威分析チームからDistributed Defense: New Operational Concepts for Air and Missile Defense」とのレポートが発表され、米国に学んだ中露が急速に軍事力を強化する中、旧体然とした縦割りIAMDでは話にならないと幾つかの提言を行っています
米国(前方展開する米軍部隊も含め)のIAMDを、「あまりにも撃たれ弱く、敵の攻撃に制圧されるだろう:far too susceptible to suppression、too vulnerable to exploitation」と喝破し、弾道ミサイル防衛だけにあまりにも集中している現状を嘆き、1990年代から問題認識はあったものの、すべて放置されたままだと指摘しています
このレポートは米国を対象としたものですが、中露に近距離で対峙している日本はもっと深刻なはずです。
「言うは易し、行うは難し」の提言内容ですが、まず事実に向き合い、さび付いた頭をリフレッシュすることが重要ですから、基本に立ち返って研究者の提言を見てみましょう。
26日付米空軍協会web記事より
PAC-3 Saudi.jpg●CSIS「Missile Threatチーム」のメンバーであるThomas Karako上級研究員らによってまとめられたレポートは、中露などを指す「near-peer adversaries」との対峙に備えたIAMD議論が全く置き去りにされていると指摘し、いくつかの提言を行っている
●そして「distributed AMD operations」等の新しい作戦運用コンセプトを提案し、中露が米国に学んだように、米国が彼らに学ばなければならないとも述べている
米国のIAMD分野が革新的な思考を求めているのに、縦割りに分割されたレーダー覆域で、弾道ミサイル防衛にあまりにも絞った現状は、あまりにも脆弱で敵攻撃に弱い状況を生み出し、1990年代から指摘されている課題を放置したままである
●提言の一つである「distributed defense」では、現有または近未来の装備で新たなネットワーク枠組み構築に集中すべきと主張し、「全てのセンサー情報を融合して、すべての発射機で対処:any sensor, best shooter」との思想を打ち出している
●これにより既存装備を結び付けて対処範囲を拡大し、それらをカバーする指揮統制システムと共に地域の指揮官に提供し、地域情勢にあった柔軟な運用を可能にすることが重要
●またレポートは、発射機を多様なミサイルが搭載可能(more interceptor-agnostic launchers)とし、「any shooter, any launcher」との表現で、柔軟な運用と多層的な防御網攻勢を可能にする必要性も提言している
CSIS IAMD2.jpg●更にレポートは、攻撃と防御ミサイル部隊の融合して同一舞台にすることを提言し、「any-launcher, any-mission capability」との表現で、攻防を柔軟に一体化するコンセプトも提言している
●また現有ミサイル部隊も新たな攻撃目標と任務に対応させ、低コストで多様な任務に柔軟に対応する方向を目指すべきとしている。併せて、カモフラージュの重要性を改めて指摘し、また分散配備により残存性を高める基本の重要性も指摘している
●レポートはこれら複数の提言により、「より打たれ強く、モジュラー性も持ち、攻防部隊の融合」を追及するものとなっている
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CSISの関連webページ
→https://missilethreat.csis.org/distributed-defense-new-operational-concepts-air-missile-defense/
米国が危機感を覚えるなら、中露により近接する日本は、「真っ青」になって「昼夜も分かたず対策に奔走」「皆で激論」「試行錯誤にまず一歩」・・・・なんだと思うのですが、そうではありません。
THAAD2.jpg相変わらず脆弱で有事に役立ちそうもない戦闘機への投資ばかりが議論され、IAMDなど言葉だけが踊っているのが日本の現状です。
最も深刻なのが「戦闘機パイロットが支配する中で、戦闘機以外で事業を進めようとすると、途方もない労力を要する」とあきらめムードが他職域にあることです。日本はどうするんでしょうか・・
米軍内では、陸軍と空軍の連携協議や演習が具体化しているようですが、日本では・・・シェア争いに血眼なんでしょうねぇ・・・・
米海軍NIFC-CAと関連装備
「日本もNIFC-CAに参加?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-11
「Baseline 9 :イージス艦の進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「kill chainからkill webへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-15
「SM-6でBMD対処に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-05
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「NIFC-CAで空軍と協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23

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