これは実に興味深いミステリー・・・
11日付各種報道が、最近ロシア軍が拠点としているシリア国内の基地に対し、所属不明の無人機による攻撃が連続して発生しており、ロシア国営メディアが米国やトルコの関与を疑う報道を行っていると伝えています
1月5日の夜には、13機もの爆発物を搭載した無人機の群れが、ロシアが使用するシリア北西部の空軍基地を襲撃する事態まで発生しており、緊張が高まっているようです
米露の軍トップが直接電話会議をして緊張緩和を図り、米側は関与を否定していますが、無人機飛来の方向で米軍偵察機が活動していたとか、トルコ軍活動地域の方向から無人機が飛んできたとか、噂が乱れ飛んでおり、正確なところは不明です
上の写真は、シリア内ロシア空軍基地攻撃に使用された無人機を、11日にロシア国防省がモスクワで報道陣に公開したものですが、手作り感いっぱいの印象です
兵器技術の拡散を強く印象付ける「謎の事案」ですので、とりあえずご紹介しておきます
11日付Military.com記事によれば
●ロシア国防省は8日、露空軍が使用しているシリア北西部の「Khmeimim(またはHmeimim)空軍基地」に対し、最近連続して小型爆弾搭載の無人機による攻撃があり、少なくとも1回は「群れ」による攻撃だったと発表した
●また、ロシア海軍が使用しているシリアの「Tartus港」も無人機の対象となったと明らかにした
●同群れ攻撃について、「無人機の群れは50㎞以上離れた場所から発進し、GPS誘導装置により制御されていた。テロリストの仕業だ」とロシア国防省は発表した
●10日に同国防省は、無人機は空軍基地北の「Idlib県」から発進し、同地域は反アサド政権を掲げる武装勢力の活動地域だとも説明している
●一方でロシア国防省は、直接的に非難しなかったが、無人機による攻撃があった時刻に、米海軍哨戒機P-8が周辺を飛行していた「奇妙な偶然」も指摘している。更ににロシア側は、無人機飛来した方向で、トルコ軍が活動していたとも指摘し、「トルコ政府は敵対行動の中止を順守する必要がある」と述べている
●同国防省は、「群れ」による攻撃は1月5日夜にあり、計13機による群れの7機を撃墜し、3機を「電子的に」無効化したと発表し、残りは基地内に落下したが被害はなかったと述べた
米軍の反応は・・・
●米統合参謀本部のMcKenzie海兵隊中将は、11日にダンフォード統合参謀本部議長とロシア軍参謀総長が電話会談を行ったと明らかにした。
●電話内容の細部には言及せず、ロシア国防省が本件に関し米国の関与を疑っているとの見解を明らかにした後の最初の電話会談で、「率直に丁寧に双方が意見交換した」と紹介するにとどまった
●しかし同中将は、「これだけは明確にしておくが、本件に米国は一切関与していない。ロシア国防省の懸念は全くの誤りだ」とはっきり語った
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ロシア軍基地を攻撃する「肝の据わった猛者」の出現に拍手喝采したい心境ではありますが、無人機の群れ攻撃技術が拡散していることには恐怖を感じます
年末には同空軍基地に迫撃砲が撃ち込まれ、ロシア兵士2名が死亡する事件もあったようです
ISISの勢力は急激に衰えているようですが、残党が破れかぶれで行った攻撃だと想像する事も出来ましょう。それにしてもロシアをターゲットのするとは・・・背景が知りたい・・・
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