米国防省の宇宙を巡る動向2つ

DNIの「宇宙脅威アセスメント」と国家宇宙防衛センター運用開始
space-based.jpg13日、米国の情報機関を束ねる Director of National Intelligenceが「Worldwide Threat Assessment」なるレポートを発表し中露が共に2~3年後には、米国やその同盟国が保有する宇宙アセットを妨害や無効化する兵器の運用開始態勢を整えるだろうと記述しました
また17日付米メディアは、米空軍を中心に国防省のみならず米政府機関(同盟国も)が協力して準備していた「National Space Defense Center」が、24時間体制で運用を開始したと報じています。
先週公表された2019年度国防省予算案でも、国防省として最優先分野に位置づけ、宇宙関連予算は3割以上の伸びを確保しているようで、日本が身近に感じにくい部分ですので、断片的ですがご紹介します
DNIの「宇宙脅威アセスメント」
space-based 4.jpg●同報告書は、ロシアと中国は継続的に対衛星兵器(ASAT)を追求しており」、米国の軍用及び民生衛星を妨害したり破壊する能力を、2~3年後には獲得するだろうとしている
●また「中露は、非破壊及び破壊の両方の対衛星兵器を、将来の紛争で使用可能にすることを目指している」、「仮に中露と将来紛争状態に至ったら、米国の軍事的有利を覆すため、米国やその同盟国衛生への攻撃を正当化するだろう」と報告書は記述している
●一方で米国も対応する予算措置に動いており、2019年度予算案で米空軍の宇宙関連予算は33%増加し、各種研究・開発・試験経費が計上されている
●また、訓練演習環境の整備にも取り組み、宇宙を戦いのドメインとして位置付ける態勢を空軍長官が強調している
●更に米空軍は13日の週、電子戦攻撃に強い33個の新たなGPS衛星の提案要求書を発出し、宇宙状況把握の体制強化に動き出している
国家宇宙防衛センター運用開始
●19日付「The Gazette」は、昨年から試験的な運用を開始していた国家宇宙防衛センター(National Space Defense Center、コロラド州の在Schriever空軍基地)が、24時間体制の運用を開始したと報じている
Space Fence1.jpg約230名のスタッフにより運用を開始した同センターは、基地の中でも特に厳重に管理された2重フェンスの管理地域に所在し、運用組織の細部は公開されていない
●同センター長のTodd Brost大佐によれば、「米空軍の部隊ではなく、米国防省の組織」であり、米空軍宇宙コマンドの兵士のほか、米国情報機関や契約企業からの派遣員も含まれている
●任務は、米軍事衛星や偵察衛星への脅威を探知し、米国益を守るための行動を起こすことである
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最近宇宙に関しては、米議会が米空軍から宇宙部門を独立させようとしており、米空軍が対抗措置として空軍司令部に宇宙部長を設けたりしている・・・とのドロドロ劇をお伝えしてきましたが、脅威は急速に変化しつつあるようです
DNIの「宇宙脅威アセスメント」は、イランも対衛星能力を獲得しつつあると分析しているようで、気になるところです
「サイバーと宇宙関連」記事130本
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302888136-1 

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