1月30日、ワシントンDCで米国とカタールとの「初めての」2+2会合が開催され、マティス国防長官とティラーソン国務長官が、カタール国 防相と外相を招いて協議が行われ、駐留米軍施設の増設をはじめとする両国関係強化が合意された模様です
カタールは、イランとの親密な関係やイスラム過激派支援を批判され、米国とも比較的親密な中東の主要国サウジ、エジプト、バーレーン、UAEから、2017年6月5日に「国交断絶」を宣言された国です。
この「国交断絶」は解決解除の糸口が見えませんが、ISIS崩壊後のイラク・シリアの混乱やイエメンの崩壊、またイランからの脅威増大など、あちこちで火の手の上がる中東情勢を前に、米国も「四の五の言ってられない」状況なのでしょう
またサウジらの断交国にとっても、「四の五の言ってられない」状況なのでしょう。
1日付米空軍協会web記事によれば
●会談後にマティス長官は、「長年にわたる」「極めて良好な軍事関係だ」と両国関係を表現した。
●そして、米中央軍と米中央軍空軍の前線展開司令部を含む約1万名の米軍兵が駐留する「Al Udeid」空軍基地を受け入れているカタールを称賛した
●更にマティス長官は、NATOがアフガニスタンで行っている作戦支援のため、1月22日の週にカタール軍が、保有する2機のC-17で物資 al-Udeid輸送を行ったことを讃えた。
1月31日付Defense-News記事によれば
●訪米中のカタール国防相は1月31日、駐留米軍兵士の生活環境改善のため、 al-Udeid空軍基地の拡張を行うと語った
●同国防相によれば、拡張されるエリアには兵士用宿舎、家族用施設、娯楽センターなどなどが建設される模様
●このようなカタールの動きは、米国との関係より緊密にして、サウジやUAEなど湾岸諸国に対するヘッジにすることを狙ったものである。
●一方でサウジなどカタールと断行した国々は、米国に対しカタールとの関係を見直すよう求めている
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カタールと縁を切ったバーレーンには、米海軍第5艦隊や米中央軍陸軍の拠点があり、米軍13500名が所在し、同じくUAEにも米海軍最大の立ち寄り港である「Jebel Ali port」や、米空軍の空中給油機やF-22や無人偵察機が大挙所在する「al-Dhafra Air Base」がある複雑さです
カタールがサウジ等から断行された当時、トランプ大統領はカタールに批判的なニュアンスのツイートを行い、国防&国務長官との温度差が目立ったようですが、ワシントンDCで「2+2」が開催されたとなれば、風向きの変化があるのかもしれません
いや・・・安全保障について少しは見識を深めたトランプ大統領は、中国やロシアじゃない、米国ホームランドへの脅威はイスラム過激派だと、「米国民目線で」見極めたのかもしれません。
カタールが登場の記事
「断行されたカタールで大記念撮影」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-15
「米軍の弾薬を頼るな!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-21-1
「イスラエルと合意後に湾岸諸国へ戦闘機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-17
「日本の銀行がカタールの戦闘機購入に融資?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-22